SSKPはれのちくもり 別冊ピアス通信34号を発行しました

ピアス 2019/04/02

いよいよ新年度が始まりました。ピアスも新しい職員を迎えてのスタートです。

それに伴いピアス通信34号を発行いたしましたので、ご紹介します。今回は2月に職員有志で行った福島被災地研修を主に特集しました。

「福祉の施設なのになぜ被災地に?」

「自分たちの支援にどう活かしていくのだろう?」

「またとない機会だと思うので、ぜひ特集してみたい。」

メンバーから上のような声が集まり、満場一致で特集することになりました。早速研修に行った職員向けにアンケートを作成し、しっかりと書いてもらいます。熱い思いのこもった意見が多く(中には枠をはみ出して書かれている方も!)集計がたいへんでしたが、なんとか形になりました。

その一方で、季節はすっかり春。お花見のシーズンということで、春にぴったりなスイーツ特集を組んでみました。ピアスメンバー・スタッフおすすめのお店やスイーツについてアンケートを行い、まとめてみました。

さらに毎回恒例となっているOB会報告や退職された職員のあいさつ等々、今回も盛りだくさんです。ぜひ、ご覧ください!

ピアス通信34号

今年度もどうぞ、よろしくお願いいたします。

(ピアス 大貫)

SSKPはれのちくもり 別冊ピアス通信33号を発行しました

ピアス 2019/02/26

例年より早い花粉の襲来に戦々恐々としております。

ピアス通信33号が発行されましたので、ご紹介します。今回は職場における障害理解をテーマに、特集を組みました。オープナー・森園さんのインタビューや働く当事者の方々へのアンケートなど、盛りだくさんの内容になっているのでぜひご覧ください!

ピアス通信33号

ぜひ、ご覧ください!

引き続き来年度もよろしくお願いします。

卓球大会を開催しました!

ピアス 2019/02/22

1/25(金)にメンバーさんたっての希望でもあった卓球大会がついに開催されました。

takkyuphoto12名のメンバーさんとスタッフ3名、総勢15名が参加、場所は国立市民体育館。ほとんどの方が初めて行く場所でもあったので国立市にどういう地域資源があるかを知る良い機会でもあったと思います。(ちなみに利用料は1500円だったので一人当たり100円でした)

普段『運動不足なんです』なんていうメンバーさんも多くいましたが、いやはやどうして元卓球部員のメンバーさんはいかんなく実力を発揮。何十年ぶりにラケットを握ったなどと言いながらその球筋は私の目には全く見えませんでした。内心では疲れが残らないように、などという心配をよそに大いに盛り上がりを見せました。

実際に運動していた時間は1時間半くらいでしたが、それでもちょうど良い疲労感と充実感が得られたという感想も多く、開催した甲斐があったと思います。

ただ単に運動をして汗をかきリフレッシュをしたというだけでなく、皆さんピアスのトレーニングの時などとは違う学生時代に戻ったような表情をされていたと思います。

振り返ってみるとこの卓球大会はピアスのプログラムや年中行事ではなく去年の12月にメンバーさんの間から起きたムーブメントが形になったものでした。言い出したメンバーさんがそのまま運営委員を買って出てくれ、その勢いに見事にスタッフも巻き込まれいつの間にか大きな波になっていきました。この経験が普段のピアスでのプログラムやトレーニングの中でも、メンバーさん同士でコミュニケーションを取り合い、協力しあい、さらにはスタッフをも巻き込んでいくといくような形で生かされれば良いな、と思いました。

最後に、なかなかスケージュールも合わない中施設の下調べをしたり、ピアスでのトレーニングが終わった後に市民体育館まで予約しに行ったり、当日早く出発してあらかじめ卓球台を準備したりと奔走してくれた運営委員のメンバーさん、お疲れ様でした!

(ピアス中野裕介)

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SSKPはれのちくもり 別冊ピアス通信32号を発行しました

ピアス 2019/02/06

世間ではインフルエンザが流行していますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

さてさて、SSKPはれのちくもり ピアス通信32号を発行しました。今回はピアスメンバーの多くが通る「企業体験実習」について取材をしました。これを編集しているメンバーさんが「自分も実習に行ってみたくなった」とお話されていたのが印象的でした。

ピアス通信32号

↓内容は↓

  • 1p 企業体験実習について
  • 2p 職場実習体験面談会 担当者インタビュー①
  • 3p 職場実習体験面談会 担当者インタビュー②
  • 4p 定着支援事業報告(鍋パーティー)・ピアスライブラリー紹介

「ピアスライブラリー」(図書貸出コーナー)は以前ホームページでも取り上げておりますので、よろしければそちらも併せてご覧ください。

SSKP はれのちくもり 別冊ピアス通信31号発行しました

ピアス 2019/01/28

報告が遅くなってしまいました。早くも1ヶ月経過しそうな今日このごろですが、今年もどうぞよろしくお願いします。

SSKP はれのちくもり ピアス通信31号を発行しました。

ピアス通信31号

今号は棕櫚亭本部にスポットを当てて、取材をしてきました!

  • 1p 棕櫚亭本部の概要
  • 2p 事務局長インタビュー“地域貢献事業について”
  • 3p 「くにたち秋の市民まつり」参加報告
  • 4p 定着支援事業(クリスマス会)報告

「本部っていったい何をしているんだろう」という、日ごろなかなか聞けない疑問にお答えした内容となっています。ぜひご覧ください。

ピアス 忘年会の報告

ピアス 2019/01/18

年が明けて、あっという間に1月も半ばを過ぎましたが、ピアス忘年会の報告です(笑)

今回も大いに盛り上がりました。当日までに実行委員で何度かの話し合いをし、やることを決めていきました。今回は実行委員の立候補者も多く、やりたいこともたくさんでましたが、しぼりに絞って決まった内容は、ケーキ作り、小さいころの写真あてクイズ、バンド演奏でみんなで歌う、プレゼント交換、作品展示でした。

当日は、まずはグループに分かれてケーキ作り。今回女性の参加が少なく、男性のみのグループもありました。そのグループは、怖々作っていましたが、作品名「男のケーキ」は見事人気投票1位を獲得していました!ケーキは個性派ぞろい。自分たちで作ったケーキはまた格別美味しかったです!

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クイズ「タイムトラベル」は、幼い頃の写真を持って来ていただいて(スタッフも)その写真が誰だかを当てるクイズ。これがなかなか難問で、昔の可愛かったり、ヤンチャだったり、写真から年代を推測したり‥グループ対抗で答えを考えますが、難しすぎて大盛り上がりでした。

最後は、メンバーさんとスタッフで練習を重ねているバンドの演奏に合わせてみんなで歌いました。「明日があるさ」と「世界にひとつだけの花」、みんなで歌うと楽しいです!

部屋の一角には最近恒例の作品展コーナーを作り、自慢の作品を持ち寄りました。

 

当日の楽しさはもちろんありますが、みんなで楽しむためにはその前の準備が大事です。実行委員を中心に、みんなが楽しめる為に案を何度も練りました。そして、それがきちんと引き継がれるようにと、イベントノートが作られました(今までなかったんです。)

ピアスは、働きたいと思う方が利用するところですが、ピアスが大事にしているのは、働くための「準備をする」ということです。準備をすることで、自信を持って安心して働き続けることができるようになります。それが、利用者さんの幸せ実現につながると考えるからです。

こうしたイベントもその準備の大切さを実感したり、人と協力しながら何かを成し遂げる楽しさを味わったり、人に感謝されたり、感謝したり、そんなことへつながっていくのだと感じています。

今回、私がとっても素敵な提案だなと思ったのは、実行委員の方たちから、当日参加せず厨房やくにたち苑でトレーニングすることになった方に、作ったケーキを持って行って食べてもらおう!というものです。裏でがんばってくれている方たちへも感謝を贈りたいとの願いからです。

ちなみにしのぶさんと荒木さんの対決シーン、しめの挨拶をどちらがやるかを決める勝負。みごと?勝った荒木さんが挨拶権を獲得したわけですが、結局はしのぶさんも私にも挨拶させて!とお話ししてましたけどね。

楽しいだけじゃなく、優しさも満載の忘年会でした。

(ピアス 増田静枝)

私は今回初めて忘年会の運営に参加したのですがそこで感じたのは、メンバーの皆さんの「楽しみたい」「成功させたい」という強い気持ちでした。それがまず現れたのが具体的にどういうゲームや出し物をやるかを決めるミーティングの時です。やりたいゲームなどのアイデアを出し合うのですが、困るくらいどんどん出てきます。削るのも一苦労、こういう時に頼りになったのが以前から忘年会や納涼会の運営に参加した経験のあるメンバーさんでした。実現可能なライン、具体的な時間やスペースの使い方を示してもらい、最終的には新しい世代のメンバーさん主導で現実的なところに落とし込んでいく。結果としてはみんなで冷静によい着地点を見つけられたと思います(吟味の末、残念ながら落選してしまった良いアイデアがいくつもありました)。こうしてピアスの「遊び」のノウハウが次の世代に受け継がれていくのか、と実感した瞬間でした。

私が主に担当したのは音楽演奏(忘年会の中での最後の出し物)でした。 さかのぼると秋ごろから「音楽会」と名付けて、月に1、2度ピアスの2階でスタッフ、メンバーさんを交えながら毎回数曲を取り上げ(スタンドバイミー、井上陽水など)演奏会を続けていました。その成果を発揮する機会がついにやってきたのです。本番直前のタイトな練習にもかかわらず演奏陣の集中力は素晴らしかったと思います。皆口には出しませんが忘年会にかける並々ならぬ思いを感じました。その積み重ねが実を結び当日もかなり良い演奏ができたように思います(演奏したのはウルフルズ「明日があるさ」、スマップ「世界に一つだけの花」の2曲です)。忘年会に参加している皆さん全員に歌ってもらったり、打楽器を鳴らしてもらったり、さらにはフラッシュモブのように踊り出す人まで出現したり、私自身演奏しながらそこに新しいコミュニケーションの形が生まれていくことにワクワクしていました。

ピアスとはメンバーさんにとって、生活のリズムを整えたり、就労のトレーニングをしたり、あるいは就職に必要な知識を学ぶ場であったりすると思います。毎日心にも体にもプレッシャーがかかっている状態が続いているでしょう。それは次のステップに行くにはとても大切な事です。ただこの忘年会のような少し非日常的な「遊び」の場所で一瞬でもプレッシャーを忘れることも大切だと思います。うまくリフレッシュができればまた日常への活動力が生まれてくるのだと思います。こうした「遊び」が次の世代に引き継がれることでピアス自体も活力を持ち続けることができるのはないか、そんなことを思った楽しいイベントでした。

(ピアス中野裕介)

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【メンバー自主企画】パーティーを楽しみました♪

ピアス 2018/12/28

images (1)「クリスマスパーティーをやろうと思ってるんだけど、一緒にどうですか?よければ何か音楽もやってほしいんだけど。」

「そういう時って、ピアスの場所借りられますか?」

お誘いと相談を受け、一緒に楽しんでほしいという思いで誘ってくれたその気持ちに素直に応えたい…一緒にやりたいな。来る予定の方の中には、ピアスに関わっていらした懐かしい名前もちらほら。そんな方たちにもぜひ会いたい。せっかくならピアスという場所でやって欲しい。そんな思いから私も参加することにしました。

企画は提案を受けて相談しながら(でも基本的にはここだけは守って欲しい事だけを伝えて)決まって行きました。
当日は、私たちスタッフからは3人参加。曲を決めて、やるならちょっと練習を…と早めに集まったのですが、今回の会のテーマは「Stop!(無理をしない)」だから、練習しちゃダメですよ!と笑顔で注意を受け(笑)、でも不安なのでやらせてもらいました。
会が始まると、入れ替わりはありつつ、ピアスの現役の利用者さん、卒業した人、企画者の友人、近所の人、遠くの人…15人ほどの方が参加者していました。趣味で撮った映像を観たり、演奏したり、歌ったり…。みんなで喋って、歌って、食べて飲んで(ソフトドリンクですが)笑いあって、楽しい時間はあっという間に過ぎて行きました。

利用者さんの発信で企画され、声がかかって集まりたいと思った人が集まってできた会。だからこそ、心底楽しめたのだと思います。趣味の話や共通の話題で盛り上がったり、また、久しぶりにあって近況を教えて下さったり、心配事を話してくださったり、いいことも悪いこともざっくばらんに話せていたように思います。ここに来ればホッとできる、ちょっと元気が出る。

ピアスはそんな場所でもあり続けたいと思いました。

ピアス 増田 静枝

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SSKP はれのちくもり 別冊ピアス通信30号発行しました

ピアス 2018/12/03

SSKP はれのちくもり 別冊ピアス通信30号発行しました。

ピアス通信30号

今号の内容は・・・

  • ピアス企業実習についての概要
  • 企業実習担当職員 増田さん インタビュー
  • 「企業実習」に関するメンバーアンケート
  • お知らせ(定着支援事業について)

などとなっています。ぜひ、ご覧ください。

特集/連載 Part ❺『ある風景 〜共同作業所〈棕櫚亭〉を、私たちが総括する。』 “悩みが許された時間と空間がそこにはあった”

法人本部 2018/11/16

ある風景 ~共同作業所棕櫚亭を、私たちが総括する。

悩みが許された時間と空間がそこにはあった

社会福祉法人 多摩棕櫚亭協会
ピアス 副施設長 吉本 佳弘
(精神保健福祉士)
私が過ごした作業所の風景

当時の棕櫚亭Ⅰ(だいいち)作業所は、公園清掃や昼食作りなどの作業とスポーツやウォーキングなどのレクリエーションが中心だった。30代から40代の元気な男性を中心にグループに力があり、勢いがあった。

ちょうどその頃、障害福祉分野の大きな転換点となる時期だった。『措置から契約へ』。他障害の分野では支援費制度が始まっており、精神障害者は支援費制度の枠からは外れたが、今までの医療モデルの考え方から、生活者モデルへの転換をどのように行なうかという時代だった。

施設長(当時)の満窪順子さんが、『棕櫚亭Ⅰがどうなりたいか』を職員だけでなく、参加するメンバーに声をかけ一緒に納涼会02考えようと、障害福祉関連のニュースや、文献をミーティングなどで紹介してくれていた。

その中に『クラブハウスモデル』があった。

クラブハウスモデルは1940年代にアメリカ・ニューヨークではじまった。デイプログラムというクラブハウスを運営していく『仕事』を、メンバーとスタッフが共同し行なっていくというものだ。従来の施設のように授産事業を行い、福祉的な就労の機会を提供するのではなく、『仕事』を行うことを通じ自助を育み、相互支援を行うことで自信を回復していくことを目的にしている。その活動は世界的に広まり、日本でも活動が行われている。

つまり、クラブハウスの活動は、単に作業を行うのではなく、自分達で作業所を運営し、自分の活動を発信する。価値ある仕事を誰もが担い、元気や自信を取り戻す。地域に閉ざされた楽園を作るのではなく、安心できる港を手に入れ、それぞれが船を出す。棕櫚亭Ⅰをそんな場所にしていきたいと皆の気持ちが固まっていくことになるのである。

棕櫚亭との偶然の出会い

そもそも、私は福祉職を希望していたわけではなかった。大学には行っていたものの、あまり勉強に集中していなく、モラトリアムを満喫していた。たまたま友人が社会学の単位取得のためにボランティア活動をしていて、立川社会福祉協議会に登録をしていた。大学2年の時に、その友人から外国人の健康診断を目的にした地域のお祭りがあるからと言われて、思いがけず手伝うことになった。思えばそこが福祉との接点だった。

近隣の学生や社会人が集められ、お祭りを賑やかなものにするために出店するというものだった。「何かを企画し、誰かと共同して作業する、お客さんに喜んでもらう」そんな共同作業はとても新鮮で楽しく、その後も何年かそのお祭りに参加している。そんなひょんな事から始まったボランティア活動であったが、いつの間にかお祭りの他にも身体障害者の介助や外国人の為の日本語教室のキッズルームで子守をするなどを始めてしまっていた。

大学4年の時に就職活動を早々に諦めて、バイトでもして暮らすかなと考えていたところに、立川社協の職員から『人と接して働くのが好きでしょ?』と言われ棕櫚亭の非常勤に応募してみないかとの誘いを受けた。元々人と接するのに緊張感を感じ、うまく馴染めないなとも感じていたのでその言葉を聞いた時にとても意外でビックリしたのを覚えている。

まぁ、それでも食っていかなくてはいけないのでとりあえず面接を受けてみることにした。面接は当時の理事長石川先生と天野さんだった。何を話したのかは覚えていないが、非常勤での採用が決まり、福祉の道に踏み出すことになったのだ。

職員としての思い、そして揺らぎ

棕櫚亭Ⅰ作業所に配属され、公園清掃や昼食作りをメンバーと一緒におこなっていたのだが、毎日が驚きの連続だった。私自身、それまでの人生で精神障害のある人たちとの接点がなく、福祉系の大学でもなかったので、今思い返すと恥ずかしながら精神障害と知的障害が何がどう違っているのかも全く知らず入職したのだ。

そのような状況の私が、「皇族の関係者ですよね?」とメンバーに言われたことは忘れられない経験の一つだ。

しかし、メンバーと作業を共にし濃密なかかわりの中で、一人一人の魅力的な部分に触れることになる。

料理が得意な人がいたり、笑顔がとても素敵な人もいた。棕櫚亭Ⅰはそんな彼らによって毎日が明るく盛り上がり、エネルギーが生み出されるそんな場所だった。ゆったりとふくよかな空間だったと今も心から思える。

ただ若かったあの日、ふとその一日を振り返った時に、なぜこんなに素敵な人たちが社会に出ることができず、社会の中では自信なげにすごさなくてはいけないのかという思いもわき、こころがかき乱されるようなこともあった。どういうわけだか気持ちがあせることもあったと思う。健康を疑わなかった自分のどこかに揺らぎをいつの間にか抱えているような気がした。

Aさんとの出会い

棕櫚亭Ⅰには、30代の男性で、Aさんという人がいた。棕櫚亭Ⅰのことを思い出すと彼の事が真っ先に浮かぶ。作業を一緒におこなったりすることも多く、同じ喫煙者という事で、灰皿の前で身の上話やバカ話をすることが多かった。

彼は棕櫚亭Ⅰのエネルギーの中心になっていた一人だった。

彼は周囲への気配りだけではなく、時におちゃらけムードを作ったりもできる人で、他の利用者も彼には一目置いていた。私は、そんな彼にとても魅力的に感じ、職員として何ができるんだろう、何かできないかと考えることが多かった。ミーティングなどでは必ず彼に話を振ったり、時に頼るようなこともしたと思う。そうすることが彼の発揮できる場所を作ることにもなるんだと心から思っていた。

しかし、それは勘違いだったのだと思う。彼はある時期から作業所に通所できなくなった。私は状況を理解できず、困惑した。『なぜこれなくなったのだろう?』

後に、私が良かれと思って親しく接したことや頼るようなことが、Aさんにとって、彼の兄弟関係を彷彿とさせるものだったと他の職員に聞かされた。自分の思いが彼にはとても負担だったようだ。

その後、私とは距離を置くことで、彼は徐々に復帰することができるようになった。理屈では負担だったことが理解できても、私はその後悶々とした時間を過ごすことになる。

時は過ぎ、少しほとぼりが冷めた頃だったと思う。多摩総合精神保健福祉センターで行われる『ピアカウンセリング』の研修があることをたまたま耳にしたAさんが、参加を希望したと聞いた。この研修は職員と一緒に参加することが条件となっていた。なぜだか、Aさんは私と一緒に参加したいと申し出てくれたのだ。このことをきっかけに徐々に彼とのやり取りが増えていったことのうれしさはあったのだが、しかし依然として職員としての距離や関わりというものにもやもやとした感情があったのも事実だ。

作業所のありようを皆で考える

その研修後、JHC板橋会の「クラブハウス」研修をAさんと一緒に受け、棕櫚亭Ⅰに持ち帰った。皆の関心も高く、私たちもよりクラブハウスについて知りたいということで、小平市にある「クラブハウスはばたき」で3日間の実習をすることになった。

「クラブハウスはばたき」では利用者が積極的に事業所の運営にかかわっていた。職員室などの職員専用のスペースは存在せず、誰でも自分の行きたいところに行くことができる。職員会議などはなく、運営について話し合う時間は誰もが参加でき強制されない。さらに、自分たちの活動を広報誌にまとめ、世界に発信していた。過渡的雇用(クラブハウスと企業が契約し、利用者が労働する)というクラブハウスから社会復帰へのきっかけがあり、安心感を持ちつつ就労にチャレンジしていた。

その時の私はクラブハウスを理解をするので精一杯だった。しかしAさんは職員と利用者の関係性など(クラブハウスモデルでは利用者と職員はパートナーシップといい、運営する上では協働する関係となっている)を利用者に質問をし、クラブハウスモデルがどんなものなのかをどんどん吸収していた。彼の姿勢に圧倒されっぱなしだった。

実習後、メンバーとクラブハウスに関するミーティングを行った。全員が、一致してクラブハウスを目指そうとなったわけではなかった。そこまで考えられないという人もいたし、そもそもそんな責任のあることは出来ないという人もいたように思う。

話し合いの結果、次のようなルールを皆で取り決めた。「作業以外にも工賃の計算や、実習生のふりかえり、利用希望者への説明、事業計画や総括、とにかく一緒に行うこと」「職員だけでの会議は持たない」「パートナーシップという関係を結ぶ」「みんなの事はみんなで考え、みんなで分担する」「クラブハウスの考えをすべて実現することはできないもののまずは自分達で出来る事を増やしていく」 メンバーの皆さんは誠実だったと思う。一方、できないこと、受け入れられないメンバーの気もちや姿勢を受け止める器が、作業所にはあった。

このような喧々諤々意見を交わしているうちに、一人一人の意識が変わっていくのがよく分かった。勿論、私自身もである。時に睡眠不足で身の入らない学生実習生に「誰か相談できる人はいないか?」と親身になったり、今まで、人の前に出る事が苦手な人がすすんでミーティングの司会をかってでくれるようになったり、引きこもりがちになっているメンバーを迎えに行き作業所まで同行する人がいたり、『GM(グループミーティング)』では幻聴で困っているBさんのためにみんなでその対策を考えたりと。人によってそれぞれだが、少しずつ少しずつ皆がすすんで行動する事が増えた。お互い思いやり、尊重される場があることで、安心してチャレンジすることができたように思う。自分のことだけを考えるのではなく、『みんなでみんなの事を』考えることが増えていった。何事も話し合いという労力と時間をかけながら。

あの時、そして今も思うこと

最後に平成17年度当時の活動報告会で、棕櫚亭Ⅰが年度の活動目標として掲げた言葉をお伝えしたい。

『棕櫚亭Ⅰで活動する私たちは人との触れ合いを、支えあいを大切にしたい、作業所の運営など意味ある役割を通じて、責任感や達成感を持ちたい。病気があっても一人の人間としていろいろな経験をして、より豊かな人生を送りたい…と願っています』

私は思いもかけず、この精神保健福祉の業界に飛び込んできて、今も色々な思いを抱えながら仕事をしている。自分の支援が正しいのか? 間違っていたのか? 悩むこともある。それは、今も昔も変わらないし、これからも揺らぎは続くであろう。ただ、この頃に棕櫚亭Ⅰの活動の中で考えたことは、悩み続けること、揺らぎこそ大切なことなのだということ。だから、Aさんとのことも私の気持ちの中では簡単に解決してはいけないことだったのだと思う。むしろ揺らぎの中で自分や自分達のことを深く考え、他者に思いを馳せ、そして何よりも、対話の中で相互理解しようとする姿勢が大切なのだと気付かされた。「パートナーシップ」という考えの基に。

作業所で「パートナーシップ」という対人支援の基本を体感できたこと、そしてそこで起こる葛藤が許された時間のながれと空間。これが、今も精神保健に携わる私にとって大切な宝物だと思う。

 

当事者スタッフ櫻井さんのコメント

吉本さんがボランティアから福祉業界に入ったのもこういうきっかけだったのかとわかりました。今、棕櫚亭の若手管理職として大切な仕事を担われている吉本さんにも若いころメンバーと語り、悩んだ日々があったことに、とても親近感を覚えます。メンバーもまたクラブハウスモデルの中で同じように役割を担い、変わっていったのかもしれないとも思えます。クラブハウスモデルは現在の棕櫚亭Ⅰに引き継がれていますが、初期の頃いろいろ試行錯誤した吉本さんの苦労が根をはっているように思います。この仕事に魅力を感じている他のスタッフも、メンバーさん達に育てていだだいたのだと思います。棕櫚亭Ⅰを皆でつくりあげた当時の思いをこれからも大切にしていきたいと深い思いに至りました。

編集: 多摩棕櫚亭協会 「ある風景」 企画委員会

もくじ

 

ピアスも市民祭に参加しました

ピアス 2018/11/16

11/4に行われたくにたち秋の市民まつりに、ピアスも参加してきました。

去年はピアスとしてホットドックの出店をしましたが、今年は棕櫚亭Ⅰと合同で、ポップコーンを販売しました。

 

棕櫚亭は、地域貢献として地域のイベントや活動に参加しています。その一環として、毎年市民まつりに出店し、地域の方に棕櫚亭を知ってもらえるよう活動しています。

普段、ピアスでは就労に向けた訓練をしていますが、時にはこのように、地域の中にメンバーが出ていく機会を大切にしています。また、棕櫚亭Iやなびぃのメンバー・職員と一緒に活動することで、棕櫚亭グループの一員であることを意識することも大事にしていきたいと思っています。

 

~準備&当日の様子~

ピアスメンバー&職員にとってポップコーン作りは初めてだったので、事前に何度か棕櫚亭Ⅰに練習に行きました。

また、ポップコーンを入れる紙コップは、ピアスの生活訓練で行っている軽作業の時間で、皆さんにデコレーションしてもらいました。色とりどりのシールや手書きイラストを使用し、一つとして同じものがないオリジナルで賑やかなカップが、お客さんの手元に旅立っていきました。

当日は鍋でのポップコーン作りや販売(じゃんけんも!)、呼び込み等を、分担して行いました。ポップコーン作りの練習をしていなかった方もすぐにコツをつかみ、次のシフトの人に技を伝授していったお蔭で、焦げることもなく上手に作れました。

参加したピアスメンバーの声をいくつかご紹介します。

  • 棕櫚亭みんなで一緒のことをやれて、地域に貢献できてよかったです。普段関わることの少ない棕櫚亭Iの人と、触れ合える良い機会になりましたし、地域の方と触れ合うのも普段あまりないことなので良かったです。何より楽しかった!
  • 緊張しながらも、うまくできたかなと思います。棕櫚亭Iで練習もできて、楽しく学ぶことができました。ありがとうございました。また普通に売るだけではなくて、じゃんけんをするなどの工夫もありました。
  • お客さんがたくさん来てくれてよかった。また、普段会えないピアス・棕櫚亭I卒業生の方にも会えてよかったです。
  • ポップコーン作りが楽しかった。子どもが、じゃんけんやおまけで楽しそうな様子を見れて、嬉しかったです。
  • 作る練習をしていませんでしたが、当日うまくできてよかったです。たくさん売れてよかったと思います。
  • ポップコーン作りは忙しくて大変でしたが、途中から楽しくなり頑張れました。じゃんけんをするのは緊張しましたが、子供に喜んでもらえてよかったです。みんなと一緒にやれて、一体感を感じることができてよかったです。
  • ポップコーン作りの工程が本格的でびっくりしました。Iで練習した後、作ったものをたくさん食べられてよかったです(ピアスに持って帰ってみんなで分けました!)。また、売り子としておまけのジャンケン担当をしましたが、最初は本気で勝ちに行ってしまい、女の子にドン引きされました・・・。
  • 紙カップを、丸いシールを使ってデザインするのが楽しかったです。

 

ピアスからは職員が2名参加しましたが、ピアスにいる時とは違ったメンバー(&職員)の顔を知ることができ、貴重な時間でした。今後も棕櫚亭法人内での横のつながりや、地域との関わりを引き続き大切にしていきたいと思います。

参加されたみなさん、お疲れ様でした。そして、お店に顔を出してくれたメンバーや卒業生、関係者の皆さん、ありがとうございました!!

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