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【開催報告】
社会福祉法人多摩棕櫚亭協会 就労移行支援事業所ピアス主催
就労支援の現場における
発達障害を持つ方へのCESプログラムの提供の成果と展望
(Communication Enhancement Cession:コミュニケーションプログラム)
〜ピアスの実践報告より〜
<日時> 平成25年3月23日(土) 10 時 〜 12 時
<会場> 国立市商業協同組合さくらホール

 発達障害者の障害者雇用が徐々に進展し、当該施設においても発達障害を抱える利用者が年々増えてきています。そこで、ピアスでは24年3月から発達障害者の特性を活かした、グループワークを用いたコミュニケーションスキルのプログラムであるCommunication Enhancement Session(以下、「CES」;セスと表記)を本格的に取り入れ始めました。

 今回は、発達障害の特性とCESの効果を精神科医の立場から多摩総合精神保健福祉センターの熊代奈津子先生に、CESの概要と特徴について心理の立場から講師の中村千城師に講義していただきました。
 他者認知のずれや独創的な発想や言語能力、いわゆる発達凸凹を彼らの解釈や考え方を活かしながら特性を認識することで、対人関係を中心とした社会性の再構築を図ることができるのがCESであるとの説明をしていただきました。また、発達障害者の増加の原因の一つに、少子高齢化も影響しているということには驚きました。現在、発達障害の多くの方は発達の特性の背景に並存する精神疾患を有しており、それらが複雑に絡み合っていることが、より生きづらさにつながっているとのことでした。

 後半は就労移行支援事業所ピアスでの参加者全員の事例を取り上げ、1年間のセッションの取り組みについて報告しました。参加者の主張や表現の仕方の変化や、トレーニングとの連動性について セス担当、トレーニング担当など関わった職員がそれぞれの立場から説明しました。セスがコミユニケーションの練習だけに終わったのではなく日々のトレーニングに生かされ、担当との面接が深まってゆき、大きな成長に繋がっているというプロセスの報告になりました。まだ日が浅く事例も少ないのですが来年度もこの取り組みを続け、トレーニングにも効果のあるプログラム、就職しても使えるツールの模索を続けていきたいと思います。フロアからのご指摘にもありましたが企業というまた違う場所でこのプログラムの有効性を検証するのもこれからの課題です。


 参加していただいた方からは「セスがプログラムで終わることなく、本人の生活の中に浸透しており、スタッフとのやりとりのツールとしても活用されている所がすごいなと感じました。」とのご意見をいただきました。その他「セスが本人の世界観、解釈、言葉などを引き出して、それを使ってプログラムが始まるという部分がとても素敵だと感じました。」「健康度という概念がアセスメントの鍵になるとのお話が印象的でした。」「障害だけに目を向けないで発達凸凹というかたちで生活や就労への適応に目を当てていく視点は大切にしたいと思いました。」等たくさんのご感想をいただきました。今回は二時間という短い時間の中で発達障害の基礎知識から実際の取り組みまで報告させていただいたので、少し欲張ってしまい、「時間が足りない」「もっと聴きたかった」等の多数ご意見がありました。今後またご報告させていただくことがあったら、また進展のあったところでご報告させていただきたいと思います。お忙しいなか、お休みのなかご参加いただいた皆様ありがとうございました。
文責:本田 美咲
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