秋の職員研修実施報告

研修会 2017/12/19

10・11月と連続して法人内研修を実施しました。 まず10月6日に「権利擁護研修―意思決定支援について」として、法人の第3者委員で早稲田大学の岩崎香さんに来ていただきました。イギリスにおける「意思決定能力法」を使っての説明は、意思決定支援の仕組みを考える上での基本の姿勢としてとてもわかりやすいものでした。特に、本人にとって危険や賢明でないことであってもおかす権利があることや、意思決定とは私たちが考える本人の利益ではなく本人の最善の利益のために行わなければならないことなど、つい支援者が思い込んでしまうポイントを再確認できたと思います。また、そもそも意思決定を尊重するためには、本人の価値を尊重し、ニーズを自ら表明できるよう支援する、そのための情報提供の方法を準備する必要があることも整理していただきました。権利擁護の視点からの研修でしたが、本人が決めていくプロセスに寄り添うこと、どう考えたかを理解しようと努めることなど、対人援助に必要な土台は変わらないということを改めて感じ、またその姿勢を日々続けていくことの大切さを肝に銘じた時間でした。

11月29日には、「対人援助実践の基本について振り返る」をテーマに、法人の元評議員で立川社協に勤務している比留間敏郎さんに来ていただきました。ご本人のニーズをどのように捉えるかという視点に加えて、スタッフとしての自分が置かれている状況をどのように分析するかを整理しました。素の自分と職業的な自分、その自分が組織の中で何を求められ、その役割に対してどこまで責任を持てるのか等を各々が考えました。特に興味深かったのは、自分の力量では無理な場合、やってくれる人を見つけることで自分の力や法人としてのやれる範囲が広がっていくということでした。自分とチームと法人のアセスメントをすることは、適切なサービスを提供する上でも、棕櫚亭の理念である「精神障がい者の幸せ実現のために地域を創造する」にもつながっていることを強く感じました。棕櫚亭をよく知ってくださっている比留間さんの例えはわかりやすく、作業中の隣同士のやり取りも面接であることや、アセスメントシートは書いて終わるのではなく、本人を理解して終わるのだなどのたくさんのポイントをいただきました。1年目から20数年目の者まで幅広い職員層で受けた研修でしたが、それぞれが持って帰れるものがたくさんあった3時間でした。

お二人ともお忙しい中ありがとうございました。

常務理事   高橋 しのぶ

 

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【報告】職員研修旅行 ~続編~

法人本部 2017/02/08

12月に若手職員発案の社員研修旅行に行ってきたことを以前報告させていただきました。
本来、この研修旅行は「今の棕櫚亭職員が考える行動指針を作りたい!」と思い、企画していました。行動指針をつくるため、組織や自分について職員同士語り合いましたが、気が付いたら三時間にも及ぶ盛り上がりになり、旅行中には、最終目標であった行動指針までたどり着きませんでした。しかしなんとか最後まで完成させたい!と職員が満場一致して次回持ち越しとなりました。そして1月24日にその続編を行いました。

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前回は今後の棕櫚亭を考える為にはまず棕櫚亭を知らなければ!と思DSC_0495い、天野さんに棕櫚亭の30年史を語ってもらいました。そして今回ですが、研修旅行に参加できなかった職員もいたため、棕櫚亭の経営陣の中で唯一の男性であり、棕櫚亭の縁の下の力持ち的な存在である事務長の荒木さんに、彼からみる棕櫚亭を話していただきました。作業所時代からの経験、利用者さんに対する思い、今の自分のあり方などの話をしていただきました。その中で、今は組織も大きくなり、効率的かつ専門的な支援を行えるようになったけれども、それは自分の専門の範囲でしかその人を見なくなるというリスクを含んでいるという話がありました。業務に追われる日々の中で対人援助職として一人の人と関わるということが何なのか、忘れてはいけないことを再度認識させていただいたような気がします。

DSC_0499こうして、参加した職員が、行動指針を考えるエキスを注入してもらったところで、グループでの話し合いに移りました。各グループとも、様々な意見を出し合いながら、行動指針につながる様に言葉をまとめていく作業をしました。そして、最終的には、各グループから出たものから多数決をとり、一グループの意見を選びました。それが、以下の言葉です。

「私達は、常に疑問を持ちながら、考え、自分の言葉で言語化する。同時に、様々な情報を取り入れ、たくさんの人に出会いながら、考える材料も増やしていく。その過程で、利用者とも誠実に向き合いながら、人として深まり・チームとしても成長する。」

これらは、棕櫚亭の理念にもある「精神障害者の幸せ実現」に向けた、基本的な姿勢を表す言葉でもあります。今回は最終目標であった行動指針をつくるというまでには至りませんでしたが、みんなで考える第一歩が踏み出せたと思います。

DSC_0496研修旅行から始まった企画でしたが、棕櫚亭30年の歴史を知り、お互い感じていることを伝え合い、今後の棕櫚亭について事業所の垣根を越えて語り合いました。業務に追われる日々ですが、職員が組織について深く考えることでより結束力が強くなるいい機会になったと思います。新しい歴史をつくる現職員を温かく見守って下さい。

オープナー 本田美咲

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