相模原殺傷事件に対するアピール行動に参加しました

法人本部 2016/09/27

9月26日(月)「相模原事件に対するアピール行動」が参議院議員会館及び日比谷公園周辺で行なわれました。多摩棕櫚亭協会からも8名の職員が参加しました。途中、シュロの会(家族会)の植松さんとも合流することができました。

行動でのアピールポイントは4点で、以下のとおりです。

①19人ひとり一人に思いを馳せ、追悼する。
②「障害者はいなくなればいい」存在ではない。
③措置入院の強化、施設や病院の閉鎖性を高めることに抗議する。
④障害の有無によって分け隔てられないインクルーシブな社会をつくる。地域生活支援の飛躍的拡充を求める。

多摩棕櫚亭協会は「相模原殺傷事件」について、これからも継続的に事件について見聞を深めながら、いろんな切り口で考え、皆で知恵を出しながら、発言していきたいと考えています。

IMG_4798 IMG_4802IMG_4794

(参加した職員の声)

棕櫚亭でもこの事件について、メンバーの方々も含め、自分の思いを語り、忌憚のない意見交換をすることが大切なのではないかと感じた。自分の障害について考えながら魂の通った対話を通じて、社会を皆で支え・支えあうとする姿勢や実感を得るというプロセスが改めて大切だと思った。そういう意味でも今回のアピール行動は、議論の場ではなく、対話集会だったことがよかったと思う。(櫻井)

様々な障害者がこの事件については本当に発言したい、訴えたいという思いで集まっていました。立場や意見は様々だけれど、とにかく障害があることで排除しないで、多様性を認める社会にしようという思いは一つだと感じました。(天野)

いろいろな立場によって、捉え方や意見の違いがあるということを実感しました。また、施設サービスのあり方、匿名性、建て替えのことなど今まで自分があまり深く考えていなかったテーマがあることも学びになりました。「命の価値」というテーマについても、「そもそも命が価値というものの生みの親だから」という捉え方にもなるほどと思いました。この事件を、社会全体の問題、そして、社会を形作る一人一人の問題と考える人がたくさんいることに少しほっとし、わたしも、自分の中にもある暗闇から目を背けないでいこうと強く思っています。(伊藤)

今回参加するにあたってプラカードを作ったのですが、掲げたいメッセージを考えながら、本当にこの事件は多くのテーマを含んでいることを改めて実感しました。とても一言では収まらず、結局は、参加できなかった職員の想いも含め4つのメッセージを背負って歩きました。
今、多くの雑誌などで事件の特集が組まれています。追悼集会にて多様な団体や立場の人間が一同に集い、この出来事が抱える様々な側面に対する想いを語り合ったことに意義があり、これだけの議論のきっかけを与えてくれた事件を決して風化させてはならない、我々は考え続けなければならないと、痛切に感じました。         (尾崎)

今回のアピール行動に参加して感じたことは、自分が一面的にしか物事を見ていないということです。山ゆり園の施設の建て替えについても然り、「障がい者はいなくなればいい」という考えに対して、「それは間違っている」というだけでなく、その考えに正面から向き合って議論を深めていくことが大切なのではと感じました。それを実行するのはとても難しいことですが、自分の身近なところから始められたらと思います。  (工藤)

集会に参加して、いかに今回の事件が多くの人達にショックを与えたか、偏見を持つ人達がいまだに多い事をまのあたりにしました。又私達が、進めてきた事と反対の方向へ進もうとする動きも出てきている事も知り、歩みを止めず、ここで自分も負けないように、職員として、一個人として、常に何かできる事は無いのか?ということを考えていかなければならないと強く感じました。(馬川)

今回参加して、この事件が国や当事者、家族と多くの人に与えた影響の大きさを感じました。この悲しい事件を「ただ悲しい」と思うだけではなく、悲しみから障害を持った方々のこれからを変えたい・変えていかなければという強い決意の声を直接聞くことができ、改めて自分にできることは何なのかを問うきっかけになりました。(本田)

いろいろな立場や背景の方の話が聞けて、まさに多様な場でした。熊谷さんという方の、「障害者は価値のない存在では無くて、価値を生む母なのだ」(たしかそんな話でした)という言葉が心に残りました。
アピール行動は、大きな声が出せて楽しかったです。始まったら、アッと言う間でした。(田村)

「緊急発言」天野理事長コメント掲載

法人本部 2016/08/23

考え続ける、ここまでの活動の正当性を信じて発信し続ける

とんでもない世の中になってしまったと、頭を抱えるようなことが多くなった昨今ですが、相模原の事件には本当に驚きました。
報道されて3週間たっても震えがくるような気持ちは一向に収まりません。被害者も加害者も障害者で、19人もの惨殺となればいろいろな立場の人を深く傷つけ、もしかしたら二度と立ち上がれないような思いにさせているのかも知れません。
この中で語られる二律背反的な価値観、病気の開示と匿名性の確保、施設の開放性とそれによるリスク、引き出される自分たちの本音と福祉職員としての理念など立場によって、見方によってさまざまな思いがわきあがるこの問題は、それぞれにがんばってきている人達の神経をも逆なでしています。
それなのにあっという間に世間の関心はオリンピックに移り、またしても風化して消えてゆきそうです。残るは精神障害者は何をするかわからない、恐ろしいという昔ながらの根強い偏見… それが、またしてもじんわり社会に蔓延してゆくのではないかという嫌な予感がします。実際に、会社で同僚の会話に「精神障害者は怖い…」という話が出てきて、暗澹とした気分になった当事者の方もいます。

変わらない非正規雇用と低賃金と人手不足ゆえの重労働、在日の方々へのヘイトスピーチに端を発したネットなどでの暴言や差別発言が、一番弱い立場に向けて噴出するという大きな背景にも、目を向けたいものです。
措置入院や医療のあり方、司法と精神保健の狭間や責任能力という課題にテーマは移りそうですが、この容疑者の幾重にも屈折した存在に対してももっと何かができなかったのかも考えさせられます。
棕櫚亭では今回2度に渡って職員会議を開き、それぞれに深く思うところを一緒に考えました。共通しているのは一昔前にはあった精神障害者差別が、何十年の積み重ねの中でやっと変わってきたのに、それが容易に崩されてしまうのではないかという恐れや、悔しさでした。
その後メンバーの皆さんにも病気をオープンにして働くことや、名前を出して講演することなど自分たちの活動は揺らがないこと、全体としては隔離収容の時代から遠く離れ、多くの人の理解はゆき渡ってきたことなど話しました。
終わらない問題、解決できない課題をたくさん飲み込みながら、考え続けること、ここまできた活動の正当性を信じて、発信し続けることこそ大切な時だと思います。

7月23日の報告会では地域の方がたくさん来てくださいました。(平成27年度「多摩棕櫚亭協会の事業活動報告会及び研修会」が開催 をご覧ください)
地域で生まれ大きくなった私たちです。これからも地域に開かれた多摩棕櫚亭協会でありたいと思います。

社会福祉法人多摩棕櫚亭協会
理事長 天野 聖子

トピックス