東京YMCA医療福祉専門学校の夏祭りに参加しました!!

ピアス 2018/07/25

報告が遅くなりましたが、東京YMCA医療福祉専門学校の夏祭りでの出店が無事終わりました!

ホットドッグは、開店してから順調に売れていきます。ウインナーを焼く人、パンを温める人、ザワークラウトをのせて仕上げる人、注文を受け金券を受け取る人。役割を分担して、売っていく間にすっかりチームワークができていきます。最初はちょっと緊張ぎみだったメンバーさんも、気持ちも盛り上がってきてか「いらっしゃいませ」「ありがとうございます!」の声もだんだん大きくなっていき、お客様とのやりとりもだんだん慣れてきて笑顔がたえない店頭でした。当日「宣伝部長」を名乗り上げてくれたメンバーさんとYMCAのつながり隊の学生さんが、一緒にプラカードを持って宣伝をしてまわります。宣伝途中に注文を受け、急遽デリバリーも行い売り上げに貢献していました(笑)。気がつくと12時の段階でホットドッグは残り4本!それもすぐに完売。でもウインナーは多少残っていたので、許可を得てそれも販売し、あっという間に売りつくしました。

メイン会場の中での出店だったので、ステージでの出し物も観たり、イベントに参加もしながら楽しみました。ボッチャの体験コーナーがあり、完売した後学生さんに誘われて、みんなで参加をしに別の階に行きました。ボッチャ、かなり盛り上がって、繰り返しチャレンジしている方もいました。そのとき、学校の中の実技の教室にはベッドや車いすがあり、ふだん学校で学ばれていることを垣間見ることもできました。

今回初めて参加させていただきましたが、大きな2つの意義を感じることができました。その一つはピアスにとっての意義です。ピアスでは地域貢献ということで高齢者宅配や子ども食堂に関わっています。今回のような地域の学校(特にYMCAさんはお弁当屋ピアスのお得意様でもあります)のお祭りに参加することで、地域に私たちの活動理解を広げることができたということは大きな収穫でした。また、メンバーさんにとっても意義深いものだったと感じます。準備やお祭り当日の「精神障がいをお持ちの方」との触れ合いによって、「楽しかった」と言ってくれた学生さんたちが、やがて社会の中の応援団になってくれることも充分に期待してもいいと思います。もちろん、学生さんと触れ合ったメンバーさん達にとっても自信になったと思います。

私達精神障がい者福祉にたずさわる者にとって、ご本人の直接支援は言うまでもなく、社会・そこで生活する人への理解促進も大切な仕事です。今回のこのイベント参加は小さな一歩かもしれませんが、「楽しみながら」引き続きこのようなイベント参加を大切にして福祉への懐の深い地域にしていきたいと思いました。

(ピアス 増田)

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『卒業生インタビュー3』青木さん(シダックスオフィスパートナー株式会社)

法人本部 2018/06/15

卒業生インタビュー 3

今回はピアスを卒業され、現在も継続しているお仕事をされている「青木さん」と会社の定着支援担当の「大野さん」へのインタビューを実施しました。

青木さんはどのようにピアスを利用され、それが今のお仕事にどうつながっているのでしょうか?

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アクセルを踏んでしまう自分に気付きました。

青木さんシダックスオフィスパートナー株式会社

勤務期間:5年6か月

以前はどんな仕事をされていましたか?

青木さん:製造業に従事しマシンオペレーターと生産スケジュールの管理、資材の発注等を業務としていました。会社からの更なる期待に応えようと仕事を家に持ち帰らないと落ち着かず、飲めないお酒を飲んで寝る生活の繰り返しでした。そうした生活を続けるうちにうつ病を発症、仕事のプレッシャーや上司や部下との人間関係で会社に行けなくなり休職、傷病手当が終了する平成21年に退職しました。

ピアスで学んだことはどんなことですか?

青木さん:私は仕事にのめり込みやすく、ついアクセルを踏みすぎて疲れてしまうことがわかりました。再発に繋がらないように、のめり込まない様にとトレーニングでコンコンと言われました。3か月のチャレンジ雇用で実践を学び身に付けました。昔のようではダメだと思いました。

ピアスのトレーニングの厳しさが今とても役に立っています。自分自身のコントロールやどうなったらマズイかがわかったり、新しい働き方を学びました。

障害者雇用を選んだ理由はありますか?

青木さん:就活当初はオープン、クローズはあまり意識していませんでした。しかし50歳を目前にしての就活は想像以上にきびしく、クローズでは殆ど求人がありませんでした。また、オープンで、障害者雇用で働くということが割りきれずにいました。

そのような時チャレンジ雇用で国立市役所に3ヶ月間お世話になりました。その時初めて障害者雇用とはこういうものなのかと実感し、こういう働き方もあることを教えてもらいました。このチャレンジ雇用がきっかけとなり障害者雇用での就職を選びました。

その後今の仕事にはどんな経緯で就職しましたか?

青木さん:シダックスオフィスパートナー(以下SOP)が出来た1年後に入社しました。オープナーからの紹介でした。運と縁を感じました。

現在のお仕事について教えて下さい。

青木さん:事務補助です。入社当時は受け身の仕事に物足りなさを感じることがあり、モチベーションが下がってしまうことがありました。しかしステップアップのためのピアサポートを実践し、トレーナーから正社員に登用されリーダーにキャリアアップしました。職務内容は他のスタッフへの仕事の割り振りや業務の進捗管理、業務全般についての指示や指導等を行っています。また実習生の実習前の面談、指導、振り返り面談を担当しています。

SOPの社風が私には合い、肩に力を入れ過ぎることなく業務に取り組めています。残業もありません。

最近苦労されていることはありますか?

青木さん:リーダーとしての同僚とのやりとりです。渡した仕事がうまくいかないことがあったり、コミュニケーションがスムーズにとれない時、何でわからないのかと思うことがあります。こういった状況は誰にとってもつらく、いいことがありません。そんな時には傾聴を心がけています。元々の自分は聞き続けることは苦手で、ついしゃべり過ぎて答えを誘導してしまう傾向にあります。なのでまずは相手に話をさせることを意識し、しゃべり終わるまでは相槌に留めるよう心がけています。

日々の生活やご家庭とのバランスで気をつけていることはありますか?

青木さん:妻からは「家と両立させてね」と言われています。その言葉が結果として仕事でアクセルを踏もうとする自分へ、良い意味でブレーキになっています。また、再発した際リスタートのリハビリにも家事がバロメータになっています。

仕事を続けていくために努力していることはありますか?

青木さん:「毎日行くこと」です。出勤率は90%以上です。私はどちらかというと自分を追い込んでしまうので、いい意味で甘やかすことも必要と休むとそれが呼び水になってしまい、長期欠勤につながってしまうことが間々ありました。なので、「無理せず休む」から「とりあえず行こう」と考えを変えました。

調子がよくない時は音に敏感になります。上司と相談し耳栓を使用しています。こうしたささいな不調のサインを上司に相談することで、大きく体調を崩すことなく働き続けることができています。

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大切なことは「セルフケア」「セルフコントロール」をご自身で実践することです。

大野さん(シダックスオフィスパートナー株式会社)

青木さんの印象を教えてください。

大野さん:明るく、仕事や人付き合いに対してまじめで、一生懸命な方です。周りの方には父親的存在で、愛情持ってリーダーとしての務めをされています。また、ご自身の障がいと向き合って入社時から徐々に体調を崩すことが少なくなってきており、セルフケアができるようになっています。

会社で行っているサポートはありますか?

大野さんもともと努力家で仕事の能力をご自身で高めていこうとする方なので、業務の進め方はお任せし、こちらは進捗チェックやサポートにしています。

また、体調・メンタルを崩される「前」は行動や考え方に予兆が見られるので、こちらから「セルフケア・セルフコントロールの声かけ」、それでも難しい場合は「ストップをかけるよう」にしています。

特に生活面は支援機関とのつながりが大切なので、必ずご自身から支援機関につながるようにお伝えをしています。

精神障害者の定着について、会社としてのお考えはありますか?

大野さん≪不安感の軽減を図り、やりがいに配慮し、モチベーションの維持・向上を継続すると共に、キャリアアップの実現を目指す≫

当社ではこの考え方に基づいて運営しています。

また、当事者は職業準備性(働くにあたって仕事をするスキルや考え方)が整い、支援機関との連携に前向きでヒューマンスキル(主に対人関係構築スキル)の向上を意識できる人はより定着できるものと考えています。会社としましてもヒューマンスキルの向上を目指したグループワークを取り入れ、皆さんで意見交換しています。そこから社員間の相互理解につながりトラブル等発生しない要因になっています。(1回/月)

これから働きたい精神障害のある人たちへメッセージをお願いします。

大野さん:当たり前ですが、就労の大前提は「出勤率が高く、長く働けること」です。ただし、体調・メンタルは波もあります。大切なことは「セルフケア」「セルフコントロール」をご自身で実践することです。

しっかり「何故働きたいのか?」と毎回目標を見て、セルフケアを大事にすれば、きっと今後の就労に繋がります。また、「仕事が生活を支えている」と考えていただいたほうが、仕事に対する向き合い方がより真剣になれると考えています。

協力: シダックスオフィスパートナー株式会社
インタビュー: 2018年5月

もくじ

『卒業生インタビュー 2』

法人本部 2017/11/29

退職のため掲載を終了しました。

もくじ

 

『卒業生インタビュー 1』山下洋輔さん(株式会社いなげやウィング)

法人本部 2015/12/15

卒業生インタビュー 1

みんなピアスにくれば道が開けると思う|山下洋輔さん|ピアス 就労移行支援事業所|社会福祉法人多摩棕櫚亭協会

ピアスのトレーニングを経て就職をされた方は、1997年の開所以来、170名以上にものぼります。(※2015年度時点)
今回は、ピアスを卒業され、現在も継続してお仕事をされている「山下洋輔さん」と、会社の定着支援担当の「千葉康夫さん」へのインタビューを実施しました。
山下さんはどのようにピアスを利用され、それが今のお仕事にどう生かされているのでしょうか?

ピアス入所前の経歴を教えてください

山下さん: 大学を中退して、アルバイトも長続きせず、発病してなびぃのデイサービス、根岸病院デイケアに2年間通い、ピアスに入所しました。

なぜピアスへの入所を決めたのですか?

山下さん: 先生からトレーニングをしておくと、発病前の仕事の感覚も取り戻すことができ、仕事が長続きすると、アドバイスがあったからです。

ピアスでどんなことを学ばれたのですか?

山下さん: 仕事をするには体力が必要なので、週5日4時間のトレーニングをしっかり行いました。そこでは、報告・連絡・相談をしながら作業を身につけるいい機会になりました。また、就職活動で必要となる履歴書の書き方や面接練習等も行いました。

ピアスで学んでよかったという点はありますか?

山下さん: 体力が付いたので休まず仕事に出勤できています。また、報告、連絡、相談が上手に行えるようになったことで、上司とコミュニケーションが取れるようになりました。

現在の勤務時間を教えてください。

山下さん: 入社した当初は6:30~10:30で行っており、その後13:30、15:30と勤務時間を延ばしていったのですが、体調を崩してしまい、現在は6:30~10:30で行っています。

現在はどんなお仕事をされているのですか?

山下さん: 売り場でグロッサリー(食料品・生活雑貨・日用品など)の品出しです。足りない商品を補充したり、奥にある商品を手前に出したり、勤務時間中はずっと動きっぱなしです。

今の仕事を選んだ理由は?

山下さん: 前職で経験があったので、やり易いかなと思いました。

ピアスで体力がついてよかったということですけど具体的にはどういうことですか?

山下さん: もともとピアス入る前は何もしていなかったので、作業をやるような感じではありませんでした。デイケアで一日中座っていたりして。作業する体力がなく、最初は2時間を週3回で、その後に、週5にどんどん延ばしていってちょっとずつ作業に慣れて体力をつけていきました。

意欲や気持ちの部分で変化はありましたか?

山下さん: ありました。最初はデイケアを週に2回行ってピアスは週3回でした。最初は、あまり作業をしたくなかったのでデイケアの方が行きやすかったです。でも工賃はもらえるし、『作業をすればするほどお金にもなるから働く』ということが分かり始めてモチベーションがあがりました。

コミュニケーション面でもピアスの訓練が役にたっていますか?

山下さん: 報連相というものをやったことがなかったのですが、今の職場でも報連相をそのまま使っています。ピアスでは清掃の時に報連相が全くできていないと指摘されました。清掃作業が終わった後に、本当は終わりましたと伝えなければならなかったのに椅子に座っていたんですよ。それで指摘されて以来自覚するようになりました。

ピアスを利用したいと思っているひとたちにメッセージはありますか?

山下さん: 皆さん、順調に生きてきたわけではないと思いますけど、ピアスにくれば道が開けると思うので、是非、利用してみて下さい。


勇気をだして働いてみよう|株式会社いなげやウィング 千葉康夫さん|ピアス 就労移行支援事業所|社会福祉法人多摩棕櫚亭協会

山下さんのお仕事のようすを聞かせて下さい。

千葉さん: 彼は出勤もちゃんとしていたし能力的にも高かったので、何にも問題なかったです。要領とか段取りは教えたけど、病状も安定していて、決まった場所・覚えた場所に出すという単純作業で体を使うような仕事が山下さんのパーソナリティに合っていたようです。「この商品どの通路だったっけ?」と私が山下さんに聞くくらい記憶力が抜群に良いんですよ。

ご自身では、仕事の特性などについて語ることはありましたか?

千葉さん: あまりしてないでですね。どっちかっていうといきなり溶け込んじゃった感じで、真っ先にこの商品はこの通路にあると覚えたのは彼で能力は高くリーダーからの信頼も高かったです。コミュニケーションは得意ではなく、自分で何かを言うことはあまりなかったですが、作業が好き、黙々とこなすのが好きなように見えます。

ご自分の症状を理解されている方は多いのですか?たとえば山下さんの場合はどうでしょうか。

千葉さん: 山下さんは疲れてくると疲れている感じがわかります。一時期、本人より一日6時間で週30時間の勤務時間を長くして社会保険にして今後一人暮らしをしたいという要望がありました。そこでこちらもアクションを起こして時間を長くしたのですが、山下さんが体調を崩してしまって。そのあと時間を戻したら、体調が治ってきましたけどね。

それはご本人が発信できたのですか?それとも周りが気が付いたのですか?

千葉さん: 先にリーダーさんが気付いて、そのあと本人からちょっと無理そうですと申し出がありました。本人の希望だったので分からなくてやってしまったのですが、やるとしてもじっくり伸ばすかなぁ、1時間とか30分とかちょっとずつ時間を延ばせばよかったなぁなどと思うことがありこちらも勉強になりました。

だとすると、実際に時間を増やすときとか、環境が変わる時は自分がどんな変化をするのか、もしかしたら体調が悪くなりかけるとか、そういうことを訓練の間でシミュレーションをして、会社の方と共有できるといいですね。

千葉さん: そういう疲れの兆しを見るポイントなどを伝えていただけたらありがたいなと思います。病気についての知識がない店員などに伝えるのは大変かもしれないですが、この人はこういうところで大変なことになっちゃう、疲れやSOSサインはこうであるとか、パニック発作などに陥った時はこういう対処をしてくださいというようなアドバイスが支援者や本人から出てくると、いいですね。本人も確立していると助かります。

他に訓練で準備できておくといいことはありますか?

千葉さん: 先ほどの基本的なことのほかは、実際に働いてみないとわからないと思います。働くことが一番のリカバリーになるかと思いますし。もちろんある程度前提となることは訓練や勉強をしてもらって、多少自分の対処法とかを相手に伝えられるようにとかはちょっとやって置いた方がいいですが…。仕事って何千種類もあるし、とりあえずは勇気をだして働いてみるというほうが早いような気がします。就職する前に、時間帯など安心して通える条件で職場実習も体験してもらえると、実際に働いているとこんなものなんだ、という感覚がつかめるのでいいと思います。

協力: 株式会社いなげやウィング
インタビュー: 2015年12月

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