NEW 棕櫚亭へ ~強い組織を目指しながら~
「多摩の精神科医療を変えたい!」
そんな創設者達の熱い思いで始まった多摩棕櫚亭協会は、開所からもうすぐ40年を迎えようとしています。
時代時代の要請に応えながら、ここまで走り続けてきました。
今、社会は大きく変わろうとしています。「いつか来るであろう変化」は、そんな猶予も許さず急速にやってきました。テクノロジーの発展により、生成AIなど画期的な技術が次々と誕生していく様は目を瞠るばかりです。しかし、その発展の陰で人々の格差は大きくなり「貧困」や「孤立」の問題は深刻さを増しています。
さらに、私達の足元である精神保健福祉分野に目を移せば、令和5年に発覚した滝山病院(現・希望の丘八王子病院)の暴行虐待事件は記憶に新しいものです。棕櫚亭の創設者達の熱い思いは、残念ながらまだまだ現実のものとはなっていません。
では、地域はどうなのか? 私達が活動する地域でも、障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)施行と共に、規制緩和が行われ、様々な経営主体が障害福祉サービスに参入してきました。それは当事者たちの選択の数は増やしましたが、サービスの質は玉石混交。さらに事業所間に競争原理も働いて、本来、繋がり合うはずの者達が、競い合い、今まで培ってきた連携やネットワークはなきものの様になっています。
そんな状況の中、棕櫚亭ではコロナ禍を越え中長期計画を作成しました。ここには今の精神科医療や地域の現状を変えたいと言う《NEW 棕櫚亭》の熱い思いが込められています。それを実現するために、私達は「強い組織」でありたいとも考えます。ここでいう「強さ」は、揺るがなさや屈強さだけを意味しません。変化し続ける社会と、時には渡り合い、時には適応していくしなやかさや柔軟さの様なものも含みます。そんな強さを身にまといながら、多摩棕櫚亭協会は精神しょうがい者の幸せ実現を目指し、さらなる一歩を踏み出します。
社会福祉法人 多摩棕櫚亭協会
理事長 小林 由美子
「協働」からめざす「地域創り」へ
国立で始まった棕櫚亭の活動が立川へ拠点を広げ、再度国立に集約してから十数年が経ちました。この間私たちは新しい法律の下に各事業を移行させることや、創設世代からの世代交代が大きなテーマとなり、集中して取り組んできました。
そのエネルギーは現在の棕櫚亭Ⅰ・なびぃ・ピアス・オープナーの安定運営へとつながり、一定の成果や役割を果たしていると感じます。また長らく4名で行っていた経営本部体制にも新しく1名加わり、層も厚くなってきました。しかしその分、昔のように棕櫚亭が中心となって地域を巻き込むような活動を行う余力の持てない時期が続いたのも否めません。
そのような中、社会福祉法人として社会貢献活動を求められていたこともあり、市内で活動する民生委員の方々、児童養護施設、公民館、高校などと出会うきっかけに恵まれました。そしてその出会いが実り、こども食堂「おいしい時間」などの食の提供を中心とした地域活動を2016年から一緒に続けています。これらの活動を通して、私たちはより孤独や貧困等の課題に触れるようになり、いままでお付き合いの薄かった児童・教育分野の方々、ひきこもりの当事者グループの方たちや支える団体の皆さんたちと一緒に考えたり活動する機会、いわゆる「協働」の活動が増えてきました。
この「協働」という考え方を、これからの棕櫚亭の目指す地域創りのキーワードの一つと考え、今回策定した中期計画の柱の一つとして打ち出しています。地域や社会問題に対して様々な形の活動が草の根的に展開されている国立で、より多くの分野の方々との協働から精神障害者の、そして誰もが幸せに暮らせる地域創りに取り組んでいきたいと思っています。
社会福祉法人 多摩棕櫚亭協会
常務理事 高橋 しのぶ








