新年度にあたり ~お祝いムードの後ろに透けて見えるもの~

法人本部 2019/04/10

平成30年度が終わり、31年度が始まりました。そしてこの平成も後一ヶ月で幕を閉じ、令和と名付けられた新しい時代がやって来ます。これで棕櫚亭の活動も昭和、平成、令和と三時代を跨ぐことになります。 今、世の中は新年号決定でお祝いムード一色です。しかし、福祉の現場から社会を見る限り、おおよそそこからはかけ離れた現実が見えてきます。

平成30年度は障害者総合支援法や障害者雇用促進法の改正、さらには報酬単価の見直し等様々な外部状況に揺るがされた年でした。 棕櫚亭でも、ピアスで就労定着支援事業を、なびぃでは自立生活援助事業を新たに展開し、オープナーでも精神障害者の職場定着のための新規二事業(「医療機関・就労支援機関連携モデル事」「精神障害者就労定着支援連絡会事業」)を受託しました。これらの事業を通し昨年度は今まで以上にたくさんの当事者の方や、関係機関の方に出会う事が出来ました。現場もいろいろ苦労はありますが、非常に盛況で多忙を極めつつも職員全員で頑張り切った1年でもありました。そこは確かにそうなのです。でもどうしても拭えない思い…

「本当に困っている人に私達は出会えているのか?」

それはどんな時代でも、自分達の支援が全ての人に届く訳ではありません。しかし、それを承知の上でも、その届かない感覚は年々広がる様に感じています。 今、福祉現場は報酬単価のという見えない鎖でがんじがらめにされ、そことの格闘でエネルギーを使い果たしているのが現状です。一方、経済の停滞や少子高齢化を背景に、社会問題はますます複雑化、深刻化しています。タイトになる福祉現場と、一見の豊かさで覆い隠されていく社会問題、出会わなければならない二者の溝はさらに深くなっていく様に感じてなりません。どんどん掻き消されて行く声に、私たちはどうコミットメントしていくのか?お祝いムードに浮かれる世の中を見ながら、その後ろに透けて見える本当の社会の姿を見続けて行かなければと思いを新たにしたところです。取材・メディア掲載/講演

今年は、棕櫚亭の30年をまとめた天野聖子著「精神障害のある人の就労定着支援~当事者の希望からうまれた技法~」が5月28日に発売されます。ここには正に、社会にコミットメントし続けて来た棕櫚亭の足跡が記されています。ぜひ皆さんご一読下さい。 そして今年度も棕櫚亭をどうぞよろしくお願いいたします。

理事長 小林 由美子

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