『はたらく当事者インタビュー』堀井さん(株式会社KSK)

法人本部 2021/09/16

今回は就労移行支援事業所ピアスの卒業生でオープナーを利用しながら障害者雇用で働き続けている堀井和宏さん上司の株式会社KSKの金谷さんにお話をお伺いしました。

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現在のお仕事を教えて頂けますか?

堀井さん:KSKに入社してからもうすぐ二年半になります。今は管理本部の経理担当という部署で働いています。勤務時間が基本的には週5日の8:30~17:30なんですが、(コロナ禍なので)今は時差出勤で、7:30~16:30で働いています。

業務内容は各事業部から届く諸経費の請求書の計上処理や、その支払いの処理とか、あとは売上データなどの社内システムへの取り込み作業などを行っています。その他には、『5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動』に関わる業務や、エンゲージメントという社内の交流促進のためのイベントの企画に取り組んでいます。

しごと風景

堀井さんの仕事風景、後ろにあるのが5S活動を管理する「VMボード」

 入社までの経緯を教えてください。

堀井さん:前職を退職して転職活動をしていたんですけど、それがちょっと思うようにいかず、体調を崩しかけたことがあって、生活のリズムを維持するために、ピアスの就労移行支援を利用しながら就職先を探していました。ピアスの利用は2度目だったんですが、利用を決めるのには大分葛藤がありました。体調を崩して辞めたわけではないのに、再度訓練をする場に逆戻りするみたいな感じが強くてその時は複雑でした。今考えたら体調を戻すためには必要というか、使ってよかったなと思っています。

 障害者雇用を選んだ理由を教えていただけますか?

堀井さん:通院や、支援機関との面談など、支援・サポートを受けるための休みがとりやすい。突発的な体調不良とかにも対応してもらえるというのが大きなポイントだと思います。

ただ、障害者雇用の給料とか待遇の面で不安があって、クローズで働きたいと思っていたので悩んだところでした。

職場ではどんなサポート・配慮を受けていますか?

堀井さん:突発的な体調不良にも理解してもらえる点なんですが、それは(障害への)配慮というか、そもそも誰かが休んでも誰かがフォローできるみたいな体制がしっかりしてるのもあって、安心して休めるみたいな。そういうところが配慮と言ったら配慮かなと思っています。

もともと障害者雇用とか関係なくお互いにサポートしあう体制ができている?

堀井さん:そうですね、マニュアルもしっかり整備されていたので、それを見ればだいたいできるみたいな。

ほかには会社に配慮していただいていることはありますか?

堀井さん:ないというと語弊があるんですけど、逆にあまり配慮されても、窮屈さを感じてしまうので、見守ってもらえていて、のびのび仕事ができています。

支援機関をどのように利用していますか?

堀井さん:そうですね、こういった職場への定期訪問もそうですし、支援者との面談が月1回あります。それ以外にもOBの集まりに参加したり、今はどっちもオンラインなんですけど、人と話すことが一つのストレス発散法なので、できる限り活用できたらなと思っています。

今働く上で努力していることや、工夫していることがもしあれば教えてください。

堀井さん:睡眠をすごく大事にしています。今、朝早く起きていることもあるので、そのために早めに寝るってことと、1日8時間は寝ないと体力が落ちるような気がするので、ちょっと昨日寝れなかったなと思った時には、仮眠を昼休憩の時にとったりしています。

数字を使う神経を使う仕事も多いので、張り過ぎないように気分転換に5Sに関する手作業などを行って気を紛らわすというか気分転換していますね。

もしよければ、堀井さんの夢を教えてください。

堀井さん:夢ですか。無いですっていうか。無いことはないですけど。うーん。このまま元気で過ごしていく事です。なんか、年寄り臭い(笑)

っていうか、変な言い方ですけど。結婚もしたし、家もあるし、ほかに何を望めばいいのかっていうのが、正直。何を目標にしようかなって、むしろ思ってます。

これから働きたい!と思ってらっしゃる方にメッセージがあれば、お願いします。

堀井さん:さっき、5Sって話しをしましたけど、3Sが大事かなと思ってます。

『睡眠と相談と積極性』

睡眠を十分とることで、体力をつけたり、生活リズム、安定させる。

相談することで、相談相手が自分の状況を理解してもらえたり、いざと言う時に、サポートをもらえるっていうところが大きいと思います。

で、最後の積極性なんですけど、そういう姿勢を見せていれば、仕事を任せてもらいやすくなったり、それが循環して、仕事へのモチベーションになったりするのかなって思ってます。

気軽に相談していただくことが、お互いの良好な関係を長く続けていける秘訣なんだろうなと思います。

株式会社KSK 金谷さん 

堀井さんの印象を教えていただけますか?

金谷さん:堀井さんはさっきの3Sじゃないですけど、非常に物事に前向きに積極的に、取り組んでくれているなという印象です。

KSKの場合、エンゲージメントという社内の親睦、コミュニケーションを高めることにすごく力を入れていますが、そのチーム活動に積極果敢に取り組んでもらっていて、今では『チームKSK』の中心メンバーです。

打合せ風景

経理チームの打ち合わせ風景、積極的に発言しています(左奥から2番目が堀井さん)

どのようなサポートをしていますか?継続しているポイントは?

金谷さん:サポートというほどではないのかもしれないですが、月に一回、ドアノックコミュニケーション、DKCという1on1ミーティングを、堀井さんに限らずメンバー全員とやっています。最近の日常生活についても含めて話をしています。気になること、困ったことがあったら、気軽に声をかけてね、と話しています。実際に堀井さんの方から、早い段階でシグナルを送ってくれるので、それが長続きしている一つの要因なのかなと思っています。

(面接に限らず)業務時間中とかに「ちょっといいですか?」と呼んでくれて、「今日体調悪いので、早退してもいいですか?」。そこまで至らなくても、「あのう最近ちょっとこうなんです。」と打ち明けてくれるんですね。そういった話をしてくれるので、こちらもすぐにそれに対して対応することができています。

自分のことを相談・発信しやすい雰囲気が職場の中にあるのですね

金谷さん:そうですね。そういう環境はできてるという感じはしますね。KSKは2014年に「健康経営宣言」を発表して以降、社長が健康経営のトップとなり、社を挙げて「心・技・体」三位一体の人づくりを推進しています。このような社風から生まれる風通しの良い雰囲気が、働きやすい職場環境に繋がっているのではないかと思います。

 

堀井さんがお互いにカバーし合う文化があるとおっしゃられていましたが、以前からあるのですか?

金谷さん:そうですね。仕事の面でいえば「マルチタスク」と言っていますが、一つの業務について属人的にならない様に、同じセクションの中で複数の人間ができる様な体制に常にしています。そういった中で堀井さんはできる業務を増やしていっています。そういう状況が、さっき堀井さんが言ってた『休みやすい環境』につながっているのではないかなと思っています。

それは障害あるなし関係なく働きやすいですね。

支援機関との連携について教えて下さい。

金谷さん:(本人・会社・支援機関が顔を合わせる)こういった定期的な三者ミーティングをするのは、こちらとしても大変助かっています。

上司に直接話しにくいことを、抱え込んでしまってどんどん傷口が広がっていくよりは、間に入ってもらうことで、早い段階で解決策が見つけられるので、こういう支援機関がいていただけるというのは会社にとってもありがたいことだと思っています。

他の社員で支援を受けているという話は聞いても、こういった形で定期的に訪問してもらってやりとりするっていうのは今までなかったんですね。これもそれこそ長続きする要因の一つなのかなとは思います。

これから働きたいと思ってらっしゃる方に向けてメッセージをお願いします。

金谷さん:やっぱり会社の中で、コミュニケーションを積極的にとっていただく、それから何か気になることがあれば、気軽に相談していただくことが、お互いの良好な関係を長く続けていける秘訣なんだろうなと思います。

最初のうちってどうしても委縮して遠慮しがちになってしまいますけど、そこはあまり後のことは考えずに、気軽に今自分が抱えてる悩みだとかを早めに共有していた方がお互いに良好な関係がもてるんじゃないかなと思います。

堀井さんも入社して早々の頃、ちょっと頑張りすぎになっちゃったことがありましたけど、「ちょっと辛いです」みたいな感じのことを言ってくれれば、仕事を少し分散させたりとか対応はとれるんで、抱え込まずに発信していただくのがいいんじゃないかなと思いますね。

インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。

『はたらく当事者インタビュー』廣澤さん(デロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社)

法人本部 2021/03/30

今回はオープナーの職場定着支援を活用しつつ、長く働き続けている廣澤梨菜さん、上司にあたるデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社の佐藤道彦さんにインタビューを実施しました。

廣澤 梨菜さん (デロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社)

今の仕事を教えて下さい。

廣澤さん:2014年に入社しました。グループ会社の1つに出向し、総務で働いています。

皆さんが使う備品の補充や環境整備をしています。コロナ対策に関する作業ではソーシャルディスタンスが取れるように椅子の配置替えやパーテーションの準備などもしました。他に突発的な業務や新しく就職する方、退職する方のロッカー整理なども行っています。勤務時間は9:30~17:30、休憩1時間です。

社風としては、企業内ジョブコーチがいて、フレンドリーな職場です。障害者に対して優しくしてくれますし、障害者雇用のメンバーが多くなってきたので周りの方も慣れてきているのかもと思います。

今の会社に入社するまでの経緯を教えて下さい。

廣澤さん:特別支援学校(高校)を卒業後、特例子会社で7年勤め、清掃を5年やりました。異動になって給与明細チェックなどの事務補助を担当したこともあります。

「あなたの障害は軽いから周りをサポートできるでしょ」と言われることがあって、自分の中では悩むこともあったので軽いと言われても納得できず、他にも人間関係で悩んだことと、ステップアップをしたかったのもあって両親やオープナーの支援者に相談し、転職することにしました。

仕事を通して、どんなところが成長したと思いますか?

廣澤さん:社会人生活10年目くらいになりますが、特別支援学校の頃はタイムカードを押すことも知りませんでした。体調を自分でコントロールすること、生活習慣を整えること、社会人としての言葉遣い、ホウレンソウの方法、稼いだお金の中で生活することなど、働きながら社会人としての基本を教わりました。

今の職場では、メールやskypeの使い方を覚えました。文字でのコミュニケーションも多いです。自分の上司ではない人とやり取りをすることもあります。

障害者雇用を選んだ理由とメリットは?

廣澤さん:特別支援学校の先生の勢い(笑)学生時代から、理解が得られる就職をしようと思っていました。

メリットは、ジョブコーチと支援者がいて、上司と自分の間に立ってくれる人がいることです。全然違うなと感じます。ジョブコーチには自分の気持ちを聞いてもらったり、指示を受けて具体的にどう動いていくかの相談をしています。

デメリットはあまり感じません。今の職場は職場内に障害者雇用の人がいることが当たり前になっています。何かあっても「自分だけじゃないんだ」って思うし、共感してくれる環境です。色々あっても大丈夫。

段取り風景

働くうえで、努力や工夫していることありますか?

廣澤さん:1番は「やさしさ」。仕事では色々な人と接点がありますが、自分の伝え方がぶっきらぼうになってしまったら、あとで後悔するかもしれない。あんなこと言わなきゃよかったと後悔しないようにコミュニケーションをするようにしています。

あとは「趣味」を大切にしています。

趣味のために頑張れる、働いてないとCDも買えない、コンサートにも行けない、どこにも行けなくなってしまうから頑張ろう!と思っています。

長く働く為にも体力的にも気持ち的にも、良く寝て、次の日に備えています。何か新しいことが急に来ると「聞いてない!」と余裕がなくなってしまうし、私は「準備しておくといいタイプ」だとわかりました。

今の職場でサポートされていること、配慮されていることを教えて下さい。

廣澤さん:上司から指示がきた時に理解し辛い時、どう動いたらいいかイメージし辛い時に一緒に考えてもらっています。

苦手な仕事でもふられることはあります。重い荷物持たされたり(笑)

難しい仕事が来た時には、ジョブコーチと相談してモチベーションを上げて取り組むこともあります。

以前は仕事の指示があいまいだったり、難しかったこともありました。今はジョブコーチにいったん相談して、取り組み方を考えるようにしています。疲れている時は、休みの取り方を相談することもあります。

どんな風に支援機関を活用していますか?

廣澤さん:仕事でモヤモヤしちゃった時は、職場のジョブコーチにすぐ言うようにしています。それでもダメな時は支援機関にも言って、片方だけじゃなく両方に言って把握してもらうようにしています。

ジョブコーチにも親にも言えない、友達にも言えない!という相談事が時々あります。そういう話はオープナーの支援者に話しています。家族に言ってもな・・・と思うこともあるので。

最後に、これから働きたい障害者の方々へ、メッセージをお願いします。

廣澤さん:周りに障害者の方がいなくて、自分だけが障害者って思っている人も多いと思います。つらいこともあるとは思いますが、「自分はどうせ出来ない」と思うのではなく、相手の気持ちも考えて動いていこうよと思います。「自分自分」じゃいけないし、自分にも周りにも優しさを持ってほしいなと思います。

IMG_6393就職する前に「自分の生活リズム」と「体調を整える方法」を知っておくといいと思います。例えば、夜更かしすると次の日辛いな、睡眠何時間はないとだめだな、みたいな。

あと自分の限界。遊びたくても、金曜日と土曜日はいいけど、日曜日はダメとか、具体的にわかっているといいと思います。

 

「今日できなくても、明日出来るように」成長してもらいたい。

佐藤さん(デロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社)

廣澤さんの印象を教えて下さい。

佐藤さん:非常に明るい方で、お洒落さんですね!

仕事に対して“嫌と言わない方”です。自ら率先してチャレンジして下さって、本当に助かっています。最近入社した後輩にとっては“廣澤さんみたいにやればいいんだな”と身近なロールモデルにもなってくれています。挨拶もとても良いですね。気持ちよく挨拶してくれます。

職場でのサポートはどうされていますか?

佐藤さん:上司は仕事をお願いする時には「今よりももう一歩先の、この仕事まで任せてみよう」と采配しています。現場にはジョブコーチ・指導員がいて、上司からの指示をそれぞれに合わせて伝えてくれたり、相談にのっています。私の方は無茶振り係ですね(笑)廣澤さん達が「やります!」と言ってくれるので。

定着するポイントはどのようなことでしょうか?

佐藤さん:デロイト トーマツ グループ全体では約14500人の社員がいますが、そのうち220人程度が障害者雇用の方です。半分以上は特例子会社の「トーマツ チャレンジド」の所属で、残りは廣澤さんのように各法人で独自採用している方です。

私が心がけていることは「機会と情報を平等にすること」です。変に腫れ物に触るようなことはしません。彼らにも成長の機会を作り、新しいことにチャレンジをしてもらいたい。成長している実感が定着につながるといいと考えています。

就労支援機関との連携

佐藤さん:指導員は就業中でのサポートを担っていますが、就労支援機関には生活面でのサポートをお願いしたいです。不調になる理由は仕事と生活、両方にまたがっていることが多い様に感じます。支援機関からも職場の方へ連絡を頂きながら、”夫婦の様に“連携しながら一緒に考えていきたいです。

これからの人へ就職を希望している方へ、メッセージをお願いします。

佐藤さん:雇用しているのは「あくまで仕事して頂く為」。「障害を持っているからこれくらいでいいよね」ということではなく、戦力の一人として入ってきて頂きたい。

あと大切なことは安定して働けること。「ちゃんと働ける体調になってから来てください」と伝えたいです。出社してから「体調が悪いので帰らせて頂きます」というようなことはあると思います。ですが、続くようだと重要な仕事をお任せすることが出来ません。そういった準備を経て、多様なスキルや経験をもった方がいるといいなと考えています。

廣澤さんとジョブコーチ吉野さんジョブコーチの吉野さん(左)と廣澤さん

 

『はたらく当事者インタビュー』丸山さん(株式会社ダブリュ・アイ・システム)

法人本部 2019/08/19

今回はオープナーの職場定着支援を活用しつつ、長く働き続けている「丸山 朋均」さんと職場で上司にあたる「本多 史朗」さんにインタビューを実施しました。

体調を崩さない働き方の1つとして、障害者雇用はある。

丸山さん(株式会社ダブリュ・アイ・システム)

今の会社について教えてください。

丸山さん:2013年に入社して、現在6年目になります。業務内容はコンタクトレンズのケア用品の通販で売り上げた商品と金額のデータ照合をメインに担当しています。勤務時間は11:30~18:30の6時間勤務です。

社風としてはピリピリはしておらず、全体的にフレンドリーだと感じています。他部署の方々とも自然に話す事もあります。

今の会社に入社するまでの経緯を教えてください。

丸山さん:病院のデイケアに通所していましたが、まったく家から出られませんでした。正直、生活リズムも崩れていました。この当時、働きたいと思い1社面接を受けましたが、「ブランクが長い」と言われ、何か訓練をした方がいいと思いました。もっと言えば、履歴書に書ける訓練先を考えていました。情報収集して、東京しごと財団の委託訓練を見つけました。ハローワークに紹介状を書いてもらい、障害者委託訓練を受講しました。受講の目的としては、当時からパソコンのスキルはあったので、決まった時間に起きて出勤して、帰宅することが一番の訓練の目的でした。

委託訓練終了後、当時、簿記3級をもっていて経理の仕事を考えていたので、4社程度の求人票をオープナーに相談して、今の会社に応募しました。

訓練で身についたことはなんですか?

丸山さん:通勤の体力を養えたことと、生活リズムを安定させることができたことです。また、障害のある方と付き合いができて、とても楽しかったです。

障害者雇用を選んだ理由を教えてください。

丸山さん:メリットは現在でも出勤の時間を配慮してもらえていることです。就業時間を考慮してもらうことで、混んでいない電車に乗ることができ、体調の安定につながっています。

社員全員が自分の病気や障害について細かく理解しているかはわからないですが、一部の社員の方に、自分の病気や障害を知ってもらう事で、殻に閉じこもらずに済んでいます。障害者ということで、引け目を感じにくいと思っています。レッテルを貼られているとも思っていません。なので、デメリットはあまり感じていません。

働く上で、努力や工夫していることを教えてください。

丸山さん:深酒はしない!次の日残ってしまうと仕事にならないです(笑)。

私は、眠れないこともありますが、睡眠時間がどんなに短くなっても、とにかく出社するようにしています。いい意味で、睡眠時間に捉われすぎないようにしています。

仕事では、スケジュールを組み立てる事が苦手なので、出社したら1日の予定を組み立てています。思いついたことなどはメモを別にとるなどして、目の前の仕事に集中しています。

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今の職場でのサポート体制や配慮されていることを教えてください。

丸山さん:配慮は先ほどもお伝えしましたが、勤務時間の調整です。

他には勤務状況や体調面について、1週間に1回、直属の上司と総務部長に「体調把握シート」を提出しています。提出したあとには必ず、コメントをもらえています。

コメントをもらうことで、とても安心しています。見守ってくれているような感じがしています。

就労支援を受けながら働くとはどのようなことでしょうか?

丸山さん:正直、会社を辞めたいと思ったことが、何度かあります。でも、相談する事で問題を解決しながら働く事が出来ています。過去には休職や部署異動もありました。

オープナーでの面談で、会社の状況や生活についての相談をすることができているので、辞めないで済んでいます。

自分から会社に直接言えない事でも、担当スタッフから伝えてくれることも大きいです。

最後に、これから働きたい精神障害者の方々へ、メッセージをお願いします。

丸山さん:就職はそんなに敷居は高くないです。昔は、敷居が高いと思って、作業所に長くいましたが、入社してみるとそれほどではないと感じています。

なぜなら、体調の安定と少しのスキルがあれば、働きやすいのが障害者雇用になります。

なので、働く前に仕事のスキルも大事だけど、生活リズムを整えておくことが本当に大事だと思います。

自分のことよく知るために主治医や支援者とよく相談して、「働く」を目指してほしいです!社会に出てもらえればと思います。

 

会話を多くすることで、体調の変化を見逃さないことが大切。

本多さん(株式会社ダブリュ・アイ・システム)

丸山さんの印象を教えてください

本多さん:明るく気さくな性格です。仕事への取組みも真面目で、業務でわからない点があると、積極的に質問していただけます。

丸山さんの会社でのサポートはどのようにしていますか?

本多さん:体調把握シートを利用しています。1週間ごとにご自身の体調変化や仕事への取り組み方を記載してもらい、担当オープナーの方と総務部長、そして自分の3名にメールにて報告してもらっています。

また1か月に1回、3者面談を行うことで、直接話し合う機会を設けています。

仕事上の問題点の確認を行い、解決方法を模索します。丸山さん自身の体調についても、所属部門内で共有を図っています。

精神障害者の方が定着するポイントはどのようなことでしょうか?

本多さん:プラス思考で考えることだと思います。健常者との比較で、そこからマイナス面を考えるのではなく、居ることによりメリットがあることを、常々私たち自身が感謝すること。そして何より会話を多くすることで、体調の変化を見逃さないことが大切だと思います。

就労支援機関との連携についてのお考えを教えてください。

本多さん:「心の拠り所」である就労支援機関と当社の定期的な話し合いは、話題が本人中心の為、丸山さん自身にとっても更に安心感が増すものと思われます。今後もオープナーと一緒に問題解決を行う定期的なトライアングル交流は継続すべきと考えますが、いずれ手が回らなくなるといった事態を危惧しています。

これから働きたい精神障害者の方々に一言お願いします。

本多さん:自分の持っている能力や才能を生かせる場所は、きっとあります。そんな職場と出会えることを願っています。

『卒業生インタビュー3』青木さん(シダックスオフィスパートナー株式会社)

法人本部 2018/06/15

卒業生インタビュー 3

今回はピアスを卒業され、現在も継続しているお仕事をされている「青木さん」と会社の定着支援担当の「大野さん」へのインタビューを実施しました。

青木さんはどのようにピアスを利用され、それが今のお仕事にどうつながっているのでしょうか?

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アクセルを踏んでしまう自分に気付きました。

青木さんシダックスオフィスパートナー株式会社

勤務期間:5年6か月

以前はどんな仕事をされていましたか?

青木さん:製造業に従事しマシンオペレーターと生産スケジュールの管理、資材の発注等を業務としていました。会社からの更なる期待に応えようと仕事を家に持ち帰らないと落ち着かず、飲めないお酒を飲んで寝る生活の繰り返しでした。そうした生活を続けるうちにうつ病を発症、仕事のプレッシャーや上司や部下との人間関係で会社に行けなくなり休職、傷病手当が終了する平成21年に退職しました。

ピアスで学んだことはどんなことですか?

青木さん:私は仕事にのめり込みやすく、ついアクセルを踏みすぎて疲れてしまうことがわかりました。再発に繋がらないように、のめり込まない様にとトレーニングでコンコンと言われました。3か月のチャレンジ雇用で実践を学び身に付けました。昔のようではダメだと思いました。

ピアスのトレーニングの厳しさが今とても役に立っています。自分自身のコントロールやどうなったらマズイかがわかったり、新しい働き方を学びました。

障害者雇用を選んだ理由はありますか?

青木さん:就活当初はオープン、クローズはあまり意識していませんでした。しかし50歳を目前にしての就活は想像以上にきびしく、クローズでは殆ど求人がありませんでした。また、オープンで、障害者雇用で働くということが割りきれずにいました。

そのような時チャレンジ雇用で国立市役所に3ヶ月間お世話になりました。その時初めて障害者雇用とはこういうものなのかと実感し、こういう働き方もあることを教えてもらいました。このチャレンジ雇用がきっかけとなり障害者雇用での就職を選びました。

その後今の仕事にはどんな経緯で就職しましたか?

青木さん:シダックスオフィスパートナー(以下SOP)が出来た1年後に入社しました。オープナーからの紹介でした。運と縁を感じました。

現在のお仕事について教えて下さい。

青木さん:事務補助です。入社当時は受け身の仕事に物足りなさを感じることがあり、モチベーションが下がってしまうことがありました。しかしステップアップのためのピアサポートを実践し、トレーナーから正社員に登用されリーダーにキャリアアップしました。職務内容は他のスタッフへの仕事の割り振りや業務の進捗管理、業務全般についての指示や指導等を行っています。また実習生の実習前の面談、指導、振り返り面談を担当しています。

SOPの社風が私には合い、肩に力を入れ過ぎることなく業務に取り組めています。残業もありません。

最近苦労されていることはありますか?

青木さん:リーダーとしての同僚とのやりとりです。渡した仕事がうまくいかないことがあったり、コミュニケーションがスムーズにとれない時、何でわからないのかと思うことがあります。こういった状況は誰にとってもつらく、いいことがありません。そんな時には傾聴を心がけています。元々の自分は聞き続けることは苦手で、ついしゃべり過ぎて答えを誘導してしまう傾向にあります。なのでまずは相手に話をさせることを意識し、しゃべり終わるまでは相槌に留めるよう心がけています。

日々の生活やご家庭とのバランスで気をつけていることはありますか?

青木さん:妻からは「家と両立させてね」と言われています。その言葉が結果として仕事でアクセルを踏もうとする自分へ、良い意味でブレーキになっています。また、再発した際リスタートのリハビリにも家事がバロメータになっています。

仕事を続けていくために努力していることはありますか?

青木さん:「毎日行くこと」です。出勤率は90%以上です。私はどちらかというと自分を追い込んでしまうので、いい意味で甘やかすことも必要と休むとそれが呼び水になってしまい、長期欠勤につながってしまうことが間々ありました。なので、「無理せず休む」から「とりあえず行こう」と考えを変えました。

調子がよくない時は音に敏感になります。上司と相談し耳栓を使用しています。こうしたささいな不調のサインを上司に相談することで、大きく体調を崩すことなく働き続けることができています。

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大切なことは「セルフケア」「セルフコントロール」をご自身で実践することです。

大野さん(シダックスオフィスパートナー株式会社)

青木さんの印象を教えてください。

大野さん:明るく、仕事や人付き合いに対してまじめで、一生懸命な方です。周りの方には父親的存在で、愛情持ってリーダーとしての務めをされています。また、ご自身の障がいと向き合って入社時から徐々に体調を崩すことが少なくなってきており、セルフケアができるようになっています。

会社で行っているサポートはありますか?

大野さんもともと努力家で仕事の能力をご自身で高めていこうとする方なので、業務の進め方はお任せし、こちらは進捗チェックやサポートにしています。

また、体調・メンタルを崩される「前」は行動や考え方に予兆が見られるので、こちらから「セルフケア・セルフコントロールの声かけ」、それでも難しい場合は「ストップをかけるよう」にしています。

特に生活面は支援機関とのつながりが大切なので、必ずご自身から支援機関につながるようにお伝えをしています。

精神障害者の定着について、会社としてのお考えはありますか?

大野さん≪不安感の軽減を図り、やりがいに配慮し、モチベーションの維持・向上を継続すると共に、キャリアアップの実現を目指す≫

当社ではこの考え方に基づいて運営しています。

また、当事者は職業準備性(働くにあたって仕事をするスキルや考え方)が整い、支援機関との連携に前向きでヒューマンスキル(主に対人関係構築スキル)の向上を意識できる人はより定着できるものと考えています。会社としましてもヒューマンスキルの向上を目指したグループワークを取り入れ、皆さんで意見交換しています。そこから社員間の相互理解につながりトラブル等発生しない要因になっています。(1回/月)

これから働きたい精神障害のある人たちへメッセージをお願いします。

大野さん:当たり前ですが、就労の大前提は「出勤率が高く、長く働けること」です。ただし、体調・メンタルは波もあります。大切なことは「セルフケア」「セルフコントロール」をご自身で実践することです。

しっかり「何故働きたいのか?」と毎回目標を見て、セルフケアを大事にすれば、きっと今後の就労に繋がります。また、「仕事が生活を支えている」と考えていただいたほうが、仕事に対する向き合い方がより真剣になれると考えています。

協力: シダックスオフィスパートナー株式会社
インタビュー: 2018年5月

もくじ

『卒業生インタビュー 2』

法人本部 2017/11/29

退職のため掲載を終了しました。

もくじ

 

『卒業生インタビュー 1』山下洋輔さん(株式会社いなげやウィング)

法人本部 2015/12/15

卒業生インタビュー 1

みんなピアスにくれば道が開けると思う|山下洋輔さん|ピアス 就労移行支援事業所|社会福祉法人多摩棕櫚亭協会

ピアスのトレーニングを経て就職をされた方は、1997年の開所以来、170名以上にものぼります。(※2015年度時点)
今回は、ピアスを卒業され、現在も継続してお仕事をされている「山下洋輔さん」と、会社の定着支援担当の「千葉康夫さん」へのインタビューを実施しました。
山下さんはどのようにピアスを利用され、それが今のお仕事にどう生かされているのでしょうか?

ピアス入所前の経歴を教えてください

山下さん: 大学を中退して、アルバイトも長続きせず、発病してなびぃのデイサービス、根岸病院デイケアに2年間通い、ピアスに入所しました。

なぜピアスへの入所を決めたのですか?

山下さん: 先生からトレーニングをしておくと、発病前の仕事の感覚も取り戻すことができ、仕事が長続きすると、アドバイスがあったからです。

ピアスでどんなことを学ばれたのですか?

山下さん: 仕事をするには体力が必要なので、週5日4時間のトレーニングをしっかり行いました。そこでは、報告・連絡・相談をしながら作業を身につけるいい機会になりました。また、就職活動で必要となる履歴書の書き方や面接練習等も行いました。

ピアスで学んでよかったという点はありますか?

山下さん: 体力が付いたので休まず仕事に出勤できています。また、報告、連絡、相談が上手に行えるようになったことで、上司とコミュニケーションが取れるようになりました。

現在の勤務時間を教えてください。

山下さん: 入社した当初は6:30~10:30で行っており、その後13:30、15:30と勤務時間を延ばしていったのですが、体調を崩してしまい、現在は6:30~10:30で行っています。

現在はどんなお仕事をされているのですか?

山下さん: 売り場でグロッサリー(食料品・生活雑貨・日用品など)の品出しです。足りない商品を補充したり、奥にある商品を手前に出したり、勤務時間中はずっと動きっぱなしです。

今の仕事を選んだ理由は?

山下さん: 前職で経験があったので、やり易いかなと思いました。

ピアスで体力がついてよかったということですけど具体的にはどういうことですか?

山下さん: もともとピアス入る前は何もしていなかったので、作業をやるような感じではありませんでした。デイケアで一日中座っていたりして。作業する体力がなく、最初は2時間を週3回で、その後に、週5にどんどん延ばしていってちょっとずつ作業に慣れて体力をつけていきました。

意欲や気持ちの部分で変化はありましたか?

山下さん: ありました。最初はデイケアを週に2回行ってピアスは週3回でした。最初は、あまり作業をしたくなかったのでデイケアの方が行きやすかったです。でも工賃はもらえるし、『作業をすればするほどお金にもなるから働く』ということが分かり始めてモチベーションがあがりました。

コミュニケーション面でもピアスの訓練が役にたっていますか?

山下さん: 報連相というものをやったことがなかったのですが、今の職場でも報連相をそのまま使っています。ピアスでは清掃の時に報連相が全くできていないと指摘されました。清掃作業が終わった後に、本当は終わりましたと伝えなければならなかったのに椅子に座っていたんですよ。それで指摘されて以来自覚するようになりました。

ピアスを利用したいと思っているひとたちにメッセージはありますか?

山下さん: 皆さん、順調に生きてきたわけではないと思いますけど、ピアスにくれば道が開けると思うので、是非、利用してみて下さい。


勇気をだして働いてみよう|株式会社いなげやウィング 千葉康夫さん|ピアス 就労移行支援事業所|社会福祉法人多摩棕櫚亭協会

山下さんのお仕事のようすを聞かせて下さい。

千葉さん: 彼は出勤もちゃんとしていたし能力的にも高かったので、何にも問題なかったです。要領とか段取りは教えたけど、病状も安定していて、決まった場所・覚えた場所に出すという単純作業で体を使うような仕事が山下さんのパーソナリティに合っていたようです。「この商品どの通路だったっけ?」と私が山下さんに聞くくらい記憶力が抜群に良いんですよ。

ご自身では、仕事の特性などについて語ることはありましたか?

千葉さん: あまりしてないでですね。どっちかっていうといきなり溶け込んじゃった感じで、真っ先にこの商品はこの通路にあると覚えたのは彼で能力は高くリーダーからの信頼も高かったです。コミュニケーションは得意ではなく、自分で何かを言うことはあまりなかったですが、作業が好き、黙々とこなすのが好きなように見えます。

ご自分の症状を理解されている方は多いのですか?たとえば山下さんの場合はどうでしょうか。

千葉さん: 山下さんは疲れてくると疲れている感じがわかります。一時期、本人より一日6時間で週30時間の勤務時間を長くして社会保険にして今後一人暮らしをしたいという要望がありました。そこでこちらもアクションを起こして時間を長くしたのですが、山下さんが体調を崩してしまって。そのあと時間を戻したら、体調が治ってきましたけどね。

それはご本人が発信できたのですか?それとも周りが気が付いたのですか?

千葉さん: 先にリーダーさんが気付いて、そのあと本人からちょっと無理そうですと申し出がありました。本人の希望だったので分からなくてやってしまったのですが、やるとしてもじっくり伸ばすかなぁ、1時間とか30分とかちょっとずつ時間を延ばせばよかったなぁなどと思うことがありこちらも勉強になりました。

だとすると、実際に時間を増やすときとか、環境が変わる時は自分がどんな変化をするのか、もしかしたら体調が悪くなりかけるとか、そういうことを訓練の間でシミュレーションをして、会社の方と共有できるといいですね。

千葉さん: そういう疲れの兆しを見るポイントなどを伝えていただけたらありがたいなと思います。病気についての知識がない店員などに伝えるのは大変かもしれないですが、この人はこういうところで大変なことになっちゃう、疲れやSOSサインはこうであるとか、パニック発作などに陥った時はこういう対処をしてくださいというようなアドバイスが支援者や本人から出てくると、いいですね。本人も確立していると助かります。

他に訓練で準備できておくといいことはありますか?

千葉さん: 先ほどの基本的なことのほかは、実際に働いてみないとわからないと思います。働くことが一番のリカバリーになるかと思いますし。もちろんある程度前提となることは訓練や勉強をしてもらって、多少自分の対処法とかを相手に伝えられるようにとかはちょっとやって置いた方がいいですが…。仕事って何千種類もあるし、とりあえずは勇気をだして働いてみるというほうが早いような気がします。就職する前に、時間帯など安心して通える条件で職場実習も体験してもらえると、実際に働いているとこんなものなんだ、という感覚がつかめるのでいいと思います。

協力: 株式会社いなげやウィング
インタビュー: 2015年12月

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