[ご報告]第2回精神障害者就労定着支援連絡会を開催しました

オープナー 2019/12/27

12月6日(金)に障害者就業・生活支援センターオープナー(以下 オープナー)で精神障害者就労定着支援連絡会(以下 連絡会)のセミナーを立川グランドホテルで開催しました。連絡会は東京都福祉保健局受託の3カ年事業であり、今年で2年目になります。

今回はシリーズ第9回目となる当事者セミナーとのコラボ企画として「働く当事者に聞く!~働く前の準備が定着につながる理由~」をテーマに、今年もオープナーに登録してるメンバーに登壇して頂きました。

当日の写真1

 

当日は150名を越える方達(これから働きたい当事者や企業、就労支援機関等)が足を運んで下さり、会場はほぼ満席で本当に大盛況でした。毎回大勢の方が興味・関心を持って来場されていると感じています。

登壇したメンバーは、大勢の前で語ることは本当に緊張するし、何を話せばいのかなど不安もある中、快諾していただけて、本当に感謝です。メンバーとは事前に何度も何度も打合せをして、「何を伝えよう?」「どのように話せばいいのかな?」など、皆で意見を出し合いながら、準備をしました。

第1部

「働く当事者に聞く~気分障害とは~」と題して病気・障害・準備性・仕事の定着について安孫子氏に語って頂きました。

発症から回復、そして再発…。生活の為にオーバーワークをしていた、当時の苦しくて大変だった、うつ症状についても話してくださいました。

当日の写真2

「鏡に映った自分の顔が違う人に見えるぐらいの状態。」だと聞いたとき、他人から言われるよりも自分で危ないとすごく感じる瞬間だなぁと感じました。

医師から「心が疲れる前に離れて楽になろう」という言葉で退職を決め、このままではいけないと感じ障害枠へ転換したことを話されていました。どうしたらよいのか相談したことで障害者手帳、障害者年金、就労移行支援事業所を知り、発信しないと情報は得られない、「情報を知るためには知る力が働くかどうか」を話されていました。また、就労移行支援事業所での働く前の準備トレーニングで報告、相談の大切さを学んだ話もされていました。自分一人で抱え込まない、無理しすぎず相談、発信していくことは障害者関係なく誰にでも通じるものだと改めて感じました。

働いてからも不安発作やフラッシュバックなどいろいろあるけれど「全てを抱えて働いています」という言葉に、「病気と一緒に歩み生きていく覚悟」をすごく感じました。そして気を引き締めて仕事をしないといけないとより思いました。

質疑応答では、

Q:やってよかった訓練は?

A:就労プログラムで自分の病気と初めて対峙していく作業が大変で苦しいけれどそれを知ることで、強みや弱みに対処できること。

Q:仕事中に体調が悪くなった時は?

A:その場を離れて休憩。頓服を飲んで、それでもだめなら早退。

Q:メンバーや職員に慣れるために実践したことは?

A:あいさつをすることで自分がここにいてもいいのかなって思う居場所作りができた。いろんな人と話ができるようになった。

Q:企業の方に伝えたいこと

A:うつ病は何がきっかけで再発するかわからないため、無理をさせない。要求を高く持たせない。本人が物足りない程度が良い。周りが見守っていくことが力になる 気づかされて安心につながる。

などなど、たくさんの質問がありました。

第2部

「働く当事者に聞く~働く前の準備はなぜ必要?~」をテーマに青木さん、堀井さん、掃部さんの3名とオープナー高橋が、それぞれの考えや思い等を語って頂きました。

最初の質問は働きたいと思ったきっかけは?に、同年代と同じように働きたい、生活保護を抜けたい、結婚したからなど、ただ漠然と働きたいではなく、「このままではいけない」と思う環境や気持ちが働きたいと思うきっかけだと話されていました。

また訓練で身につけたことが働いたときにためになっている、苦手なこともとりあえずやってみることで自分の強みや弱みを知ることができたと話されていました。

会社での配慮では、相談が苦手だから声をかけてくれると話がしやすくて気持ちが楽になっていること、1時間に5分程度の休憩を取らせてもらっているなど、「自分にとって必要な配慮があれば働ける」と話されていました。一方で自立したいから配慮はされたくない。遠くで見守ってもらいたい。自分から発信するまで待ってもらいたいなど、活発に3者3様の意見も出て、すごく聞きごたえのある内容となりました。

企業に向けてのメッセージとして、「実習があると良い!」というのは「そうそう、そうしてほしい」と全員共感していました。実習はお互いの具体的なイメージを持て長所短所が分かり雰囲気もわかる。訓練とは違い、「会社で必要な配慮事項」がわかるとのことで、「実習はやるべき」だと話されていました。

最後に心がけていることは何ですか?の質問に3者の言葉は印象的でした。堀井さんは「とりあえずなんでもやってみる。行動を起こすこと。」掃部さんは「なんでも挑戦。成功すれば自信。失敗は改善につなげる。経験が増えていく。」青木さんは「今やっていることを疑うのではなく、なんでやってるのかを考える。」

いろいろなことを経験して体験して、準備して自分のことを知っていく、自分に合った環境ってどんな場所だろう?病気と付き合いながら働くとはどういうこと?長く働くための工夫など3者3様の意見や考え方は本当に聞き応えがあるものでした。

2

 質疑応答では、こんな質問が出ていました。

Q: ストレス対策は?

A: どういうときにストレスになるのかを知っておく。予防と対処を知っておく。

趣味でストレス発散

環境の変化で症状悪化もある。無理をせず伝えることが大事。

Q:訓練、準備が続けられたのは?

A:まずとりあえずやる。慣れてくると続けられる。この人みたいになりたいということがモチベーションとなった。

年金がもらえなかったため、お金のために。生活保護から抜けるために。

作業はつらいが、終わったら休めるなど手近なところでモチベーションにつなげた。

Q:働きたいけど働けない焦りをどうすれば?

A:苦手な作業もやって、やり終えたら達成感となり、いろんなことにチャレンジしていくと焦るより自信となってきた。

焦って失敗して自信を失うより、今何をしなければいけないのかを考えれば焦りは消えていく。目標設定していく。

 当事者からのアンケート

80%以上の方が「満足」「やや満足」と答えてくださいました。また、一番伝えたかった「就労準備の必要性について」は95%以上の方が「必要と感じた」「やや感じた」と答えてくださいました。

以下は一部抜粋になります。

「コミュニケーションの大切さに共感が持てた」

「自分のことを知ることの重要さ」

「悪くなるサインも認識してその対処の仕方も知っておきたいと思った。」

「訓練という準備は一見遠回りに見えるかもしれないけれど実は近道なのかも」

「今やっている事の意味を考えるということが大事だと分かった。」

企業・支援者の方のアンケート

95%以上の方が「満足」「やや満足」と答えてくださいました。

また、「当事者の就労準備性は重要か?」については、「感じた」「やや感じた」を合わせると100%となりました。

以下は一部抜粋になります。

「無理をさせないというのが心に残りました。」

「ご本人、企業、支援機関との連携やコミュニケーションが大切。」

「はっきり本人に伝えることも必要だと知ることが出来た。」

「自己理解の大切さを改めて知った。」

「自分と向き合うことは大変だが大切だ、という話をメンバーにも伝えたい。」

「マイナス面にもしっかり目を向けているから長く働けているんだと思いました。」など

これから働きたい当事者、企業、支援者それぞれに、登壇したメンバーの想いが届いたことを実感できるアンケート内容になりました。

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シリーズ第9弾!になりましたが、この「当事者セミナー」でのリアルで生の声は、印象的な言葉として心に残り、頑張ろうと思える力があると実感しました。次回はどんな内容で、どなたが登壇してくれるのか?ワクワクします!

最後に登壇していただいた安孫子さん、青木さん、堀井さん、掃部さん、そして、ホームページに掲載されている写真を撮影してくれた君成田さん、本当にお疲れ様でした。

メンバー・スタッフ、それぞれほっと一息。最高の笑顔でお開きになりました。

オープナー 吉岡誠

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