本のご紹介

オープナー 2020/12/15

『ケセラセラ ~統合失調症患者の作品集~』本田歩

ケセラセラ表紙データ (2)

著者の本田歩さんは静に47年の人生の幕を閉じた。

生前、歩さんから「仏像を彫ってみたいんです」という話を聞いたときは

とてもビックリしたけれど、自分の中にあるものを表現したいという気持ちにとても共感できた。

歩さんは自分のことだけでなく、常にだれかのことを気にかけ、心配していた。

会話にユーモアがあり、こちらの気持ちを緩ませてくれる。そんな人だった。

歩さんのご家族が彼の逝去後、彼のスマートフォンから俳句や詩を200点以上も見つけ、歩さんの思いを『本』にしたと聞いたときは、歩さんのユーモアややさしさがカタチになってずっとずっと残るのだと、とても嬉しくなった。

『本』には季節の移ろいや、動物や人々、日常の中にある何気ないワンシーンが切り取られている。

日常は流れていく。しかし、彼はその時感じた自分の気持ちや日常を留めるために、言葉を当てはめていた。その作業はとても大変だったに違いない。時に悩み、葛藤し、後悔や自責の念を感じたかもしれない。

その思いはどんなものだったのか、私には想像しきれるものではないが、彼が感じた風景を皆さんにも感じていただければと願わざるを得ない。

オープナー吉本

ケセラセラチラシ3

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