[ご報告]第3回精神障害者就労定着支援連絡会を開催しました

オープナー 2019/05/22

2018年度より、オープナーでは東京都福祉保健局による「精神障害者就労定着支援連絡会」を事業受託しています。

<前回までの報告はこちらをご覧ください>

だいぶ間があいてしまいましたが、1月18日に行われました第3回セミナーを報告させて頂きます。第3回は「働く当事者からのメッセージ~当事者セミナー」と題し、連絡会事業との同時開催という位置づけとさせていただきました。

 

【当事者セミナーとは】

今年度で8回目の開催となりました。登壇メンバーは、毎月オープナーで行っている、働く当事者のための茶話会、通称、「仕事談話室」のメンバーと、談話室には参加していないが、伝えたいことがあるメンバーです。内容は、これから病気と付き合いながら働こうと考えている方達に向けて、障害者雇用の実際を自分の体験談を通して、時には失敗談も織り交ぜながら語ってもらいます。

次のステップへ踏み出す足がかりや就職までのイメージ作りに役立てて貰えたらという想いで開催しています。

そのため、今回のセミナー参加者は、精神科病院やクリニックのデイケアに通所中の方、就労支援機関や地域活動支援センターにて準備をすすめている方、またそれぞれ施設の支援者、各企業の人事担当の方、現場指示者の方等、様々なお立場の方が集まっての回になりました。

 

第1部は「私の病気と障害」40代男性のオープナーメンバーに講師として登壇して頂きました。

発病前どんな生活をしていたか、どんな学生時代だったかから始まり、統合失調症を発病した頃のこと(在職中だったそうです)、病気がありながらどのようにして訓練して社会復帰していったか、またその葛藤などが生々しく語られました。そして支援機関を使っての転職活動や、その後転職し長く働き続けている工夫までお話いただきました。

話の中で印象的だったのは「昨日の自分を超えていくという心構えをもっている」「厳しい現実も事実として受け入れることも大切」ということでした。

つい発病以前の自分と比べてしまったりということもあったそうですが、仕事を任せてもらう中で成長し自信がもてるようになったそうです。

また、デイケアや通所先に日々通っている皆さんの中には自分がやっていることに自信がもてなかったり、前に進むにも回り道をしていると感じる方もいると思いますが、そんな方へのメッセージとして、「希望を持って生きていく事は病気に効く」という話もありました。他にも具体的な病気の予防と対処として「よく寝る/服薬をしっかりする」、仕事の乗り切り方は「仕事の事は職場でだけ考えて、ON・OFFをはっきりする」ことだと紹介して下さいました。

第2部では「準備と定着とは?」と題し、3名のオープナーメンバーとパネルディスカッションを行いました。

1人めは特例子会社にて事務職として6年半勤務の男性、2人目はアパレル関連で接客業を4年弱勤めている女性、3人目は特例子会社で店舗巡回清掃を1年勤めている女性です。それぞれに背景や生活環境が違い、部下をもつ人、すでにかなり独り立ちされている人、2年目に入ったばかりの人、家庭をもっていたりお子さんがいたりとバラエティに富んでいます。

話題は自己紹介がてらのそれぞれの道筋の紹介、自分に合っている通所先の見つけ方、仕事と生活のバランス、自分の病気と付き合いながら働くための努力、生活面での工夫等が話されました。自由な雰囲気の中、3人のキャラクターで笑いもおきながらの和やかな会になりました。

中でも特にアンケートや皆さんの反響があった話題を紹介すると、1番は「相談について」でした。

「相談するコツ」や「相談って何のためにやるの?」「愚痴と相談の違いって?」と、自分が働く中で相談することがどのように重要か、どう生かしているかが話されました。

ある人は「自分の判断で突っ走っちゃったりすることがあるので、相談をしたことで自分で判断せず答えを貰えたことがよかった。すごく楽になったが勇気はいる。トレーニング時代は出来なかった」との答え。また他の方は「どこからが相談かが難しく、支援者と話していても相談はあまりしてこなかった。自分が思った答えが返ってきて欲しいからそうじゃないならいいやと思って。職場では堅苦しくやらなくてもいいと思います!」と。また3人目の方は「自分の気持ちの整理として相談している」とのこと。他にも「いい人ぶりたい気持ちもあるので、そもそも言い辛い」などなど、3者3様の本音トークが新鮮でした。

支援者の立場からすると、つい口癖のように「相談して下さいね」と言いがちですが、相談をもちかける時の効果的な話し方や支援者を上手に活用していく方法については、社会人歴が長い方のセリフにはさすが!の説得力がありました。またパネリストメンバーの「相談しても意味がないんじゃないか、自分で判断した方が自分の経験にもなるし、評価されるのではないか」という気持ちにもどこか共感できますし、障害があるなしに関わらず社会人として誰もが感じる部分だなと感じます。

そういった部分も包み隠さず話し、ご参加の皆さんと質疑応答を通してやり取りできるところも当事者セミナーのいいところでもあります。

最後に会社の人事担当者へのメッセージ、支援者に向けてメッセージもお聞きしました。

「長い目で見て支援してほしい」「道半ばで送り出さずに、社会人としてのルールやマナーを知った人を送り出してほしい」とのコメントがありました。

 

連絡会は2019年度も引き続き行っていきます。ご参加いただいた企業・支援機関の皆様、ありがとうございました。

(高橋智子)

 

 

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