【報告】多摩就労ネットワーク連絡会議のご報告

研修会 2017/09/13

9月6日に毎年HW立川と共催している摩就労ネットワーク会議を行いました。そして今回、近年の多様な対応に先立ち、オープナーでは「発達障害と依存症」というテーマを取り上げました。今回は例年お世話になっている関係機関の他に、普段はなかなか一緒に仕事をする機会がない生活福祉課や大学にも幅広くお声かけさせていただいたところ、反響があり、本来なら定員100名のところ、大幅に上回る116名の方にご参加いただくこととなりました。

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1部ではアメリカでのダルク当事者との交流や精神保健福祉センター・保健所などでのアディクションに関する活動を精力的に活動されてきた雷門クリニックの伊波真理雄先生をお招きしました。

KIMG0070KIMG0072「アディクションとは」から始まり、発症の危険因子や回復のプロセス、依存症を理解するコツなど先生の当事者との交流のご経験があったからこその考え方を教えていただきました。その後は、発達障害と依存症との違いや発達障害者が依存症になりやすい傾向がある理由など事例を交えながら、ご説明していただきました。伊波先生の患者への関わり方は治療という堅苦しいかたちではなく、本人に寄り添って話を聞いている、そんな感じがしました。

 

2部では発達障害の傾向があると診断を受けており、ギャンブル依存症をもつオープナー登録者の千濱友之さんに体験談を話していただきました。ギャンブルになぜはまってしまったのか、ギャンブルを止められない日々、訓練施設にいきながらGAに出会い、現在就労を続けている現状までを赤裸々に語ってくださいました。

KIMG0083KIMG0081千濱さんは当時感じていた気持ちも率直に話してくださり、最後には「今でも明日やってしまうのではないかととてもこわい」と2年間ギャンブルをしていないにも関わらず、実はまだギャンブルを抑制できない自分がいて、その葛藤を続けているという弱い部分も伝えてくれました。

発達障害をもつ人がなぜ依存症になりやすいのか。伊波先生は精神科の治療は「人間関係の治療」だとおっしゃいました。発達障害をもつ人はなかなか人と上手くコミュニケーションをとれない方が多くいらっしゃいます。今回学んだことは、依存症の症状を抑えることに焦点を当てるのではなく、本人がどういったことに生きづらさを感じているのかを考え、自分に自信を持てるような生き方を誰かと一緒に重ねていくことが大切なのだと教えていただきました。千濱さんからは「ゆっくり話を聞いてほしい」との支援者へのメッセージがありました。依存症だから発達障害との重複だからと特別なことが必要なのではなく、伊波先から教わった「笑顔とリラックス」をキーワードに本人と向き合うことが大切なのだと思います。業務の忙しさから、わかってはいるけれども忘れかけていた福祉の原点であり、関わり方を思い出させてもらえた研修でした。

 

                      オープナー 本田美咲

【報告】家族講座を行ないました

なびぃ 2017/02/07

去る1月21日(土)・2月4日(土)に、なびぃ『家族講座』を開催しました。

1回目の発達障害専門家によるおはなしでは、中村干城(なかむらたてき)さんにご講演頂きまDSCN0069
した。「発達障害」そのものや、それを取り巻く支援体制の現状、そして、日常を共に過ごす家族はどうすれば良いのか、など2時間では足りない濃い内容でした。特に印象的だったのは、自分の家族ではない「当事者」と関わって見ると良いということでした。それが今までと違う「向き合い方」を手に入れるきっかけになるのではというお話しには、なるほどと思いました。

ご参加頂いた方々からは、「当事者である子どもが不安に思うことをやわらげ、楽しく家で過ごす雰囲気を作ろうと思いました。」「本人の『世界観』を共有することが大切なのだと知りました。」「改めて主治医に診断名や、飲んでいる薬について詳しく聞こうと思いました。」などのご感想を頂きました。

 

2回目はタッピングタッチを学びました。※タッピングタッチとは→『タッピングタッチ協会ホームページ

20170204家族講座000ゆったりとしたBGMが流れる中、3名のインストラクターの方が手取り足取り、ていねいに教えて下さいました。決して専門的で難しいものではなく、道具も必要なく、ちょっとしたコツをつかめれば本当に『いつでもだれでもどこででも』できるものでした。主に背中・肩・首・頭にかけて行なうものですが、終わる頃には不思議と体中がぽかぽかしていました。ご参加頂いた方々からは「家族のコミュニケーションをするための取っ掛かりになると思った。リラックスする事によって素直に話しをしてくれそうに思う。」「とてもリラックスでき、気持ちよかったです。終わった時はほっこりした私になっていました。」などのご感想を頂きました。

今年度の家族講座も、寒い中にも関わらずたくさんの方にご参加頂きありがとうございました。なびぃスタッフも一緒に勉強し、一緒に楽しませて頂きました。これからも、またご家族と交流し、一緒に学べる機会を作れたら良いなあと思っております。

「リカバリー全国フォーラム 2016」分科会

ピアス 2016/09/23

去る8月26日(金)に、「リカバリー全国フォーラム2016」の分科会に参加をしました。

会場には当初の予定人数よりも大幅に上回る約80名の当事者、ご家族、支援者の方々に足を運んでいただきました。「発達障がい者の就労」というテーマで、ピアス卒業生の千濱友之さんと私が講演を行いました。ピアスでの就労トレーニングの実際と、CESプログラムの説明を中心とした内容でしたが、質疑応答も活発に行われました。

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前半はJSN東京の浦野さんから「就労移行支援事業所における発達障害者への効果的な援助要素」に関する調査報告とJSN東京の紹介がありました。そのなかでご本人が自己理解すること、そして自ら周囲へ提示していくことができるようになることが有効であるとの話をされていました。棕櫚亭と同じ理念であること、そして自分たちが必要だと思っていたことが必要であるとの報告に改めてその重要性を感じました。

後半はピアス卒業生であり、現在オープナーを利用されている千濱友之さんにお話をしていただき、私のほうからピアスの訓練内容を、特にCESプログラムについて話をしました。大学卒業後、教職員として働いていたときに苦労したこと、ピアスに繋がりCESプログラムを含む訓練を行い就職した経緯、就職してから色々な葛藤があったことを赤裸々に語っていただきました。その中でピアス利用開始当初は「相手のことを考えなければいけない意味がわからない」とおっしゃっていました。しかし今では「人との繋がりが大切で、そのために自分のことを自分で伝えて相手に知ってもらうことが必要なのだ」と語ってくださいました。千濱さんの発表が終わると時間内には答えきれないほどの質問の声があがり、その中には支援者として考えさせる質問もありました。

また、アドバイザーとして登壇されていた笠井さんからは会場からの質問に対して「発達障害という言葉が先行しすぎている」「就労するステージにあがると就労出来るか出来ないかをジャッジをされることになる」という目まぐるしく変わっていっている障害者の就労支援に対して、支援者にも陥りがちな視点を言葉にしてくださいました。

今回、千濱さんの言葉を聞いて、私は発達障害をお持ちの方にコミュニケーションの必要性と自己理解の大切さを伝え続け、人と繋がることで働く喜びを感じていただけるように支援していきたいと思いました。

本田 美咲

 

 

「発達障害をもつ学生支援」実践報告会開催のお知らせ

研修会 2016/09/07

10代後半から20代前半の若者からの、就労相談の問い合わせがありませんか?
最近、障害をお持ちの大学生が年々増加しており、未診断の学生を合わせるとさらに多くなります。
そのため、大学では障害のある学生に対して独自の支援体制が進み、地域でも先進的な取り組みが始まっています。
そこで、この研修では大学の現状や発達障害等を持つ学生への対応を学び、地域の支援機関と大学の有効な関わりと連携について考えていきたいと思います。

「新たな利用者に対応するために
-増える発達障害を持つ学生の現状と先駆的な取り組みを学ぶ-」
実践報告会開催のお知らせ

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「多摩就労ネットワーク連絡会議」のお知らせ

研修会 2016/08/19

新たな利用者に対応するために
~増える発達障害を持つ学生の現状と先駆的な取り組みを学ぶ~

●大学では今「一橋大学の実践」:一橋大学 丸田 伯子先生
●就労支援における大学との連携:東京障害者職業センター 井上 量氏
●教育と福祉のネットワーク:大田区障がい者総合サポートセンター 木伏 正有氏・広瀬 健次郎氏

2016年9月29日(木) 14:00~17:00  @ ハローワーク立川会議室

10代後半から20代前半の若者からの就労相談の問い合わせがありませんか?
この研修では、大学の現状や発達障害等を持つ学生への対応を学び、地域の支援機関と大学の有効な関わりと連携について考えていきたいと思います。

ご興味のある方は、ぜひご参加ください。

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「多摩地域障害者就業・生活支援センター合同連絡会議」開催のお知らせ

研修会 2015/12/16

2013年、ハローワークにおける障害者就職件数は、身体・知的のある方を越え、精神障害者がトップとなりました。
そして、2020年、精神障害のある方の雇用率算定化がスタートします。
精神障害のある方の雇用は難しい、良く分からない、直ぐに辞めてしまう等とお悩みの企業が多い中、精神障害(発達障害)のある方を雇用するために、企業はどう対応していくのか、合理的配慮の時代の中、その実践を学んでいきます。

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「多摩棕櫚亭協会報告会 & 講演会」開催のお知らせ

研修会 2015/06/17

精神障害者の地域生活の充実を願って、共同作業所棕櫚亭が国立市に誕生してから27年経ちました。
市内で、地域活動支援センター棕櫚亭Ⅰ、相談支援事業所なびぃ、就業生活支援センター オープナー、就労移行支援事業所 ピアスなど4つの事業を運営し、今年度はピアスⅡ(ピアス分場)も設立しました。
今回は自立支援法以降の法人の歩みと、新しい組織作りに向かっている私達の現在についてご報告いたします。
あわせて家族の方には特に関心の高いテーマである発達障害についての、講演会も行ないます。

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「発達障害をもつ方へのCESプログラム〈発展編〉」の研修報告を掲載

研修会 2015/03/24

平成27年2月28日に『発達障害いをもつ方へのCESプログラム〈発展編〉~働く現場で必要なコミュニケーションスキルを得る為に~』の報告会を行いました。
発達障害の方々の利用増加が著しいピアスでは、従来のSSTでは不十分と、24年講師の中村干城氏をお迎えしてCESを導入、コミュニケーションのグループトレーニングを初めました。その後就職した方が増えたことから、25年からは卒業生のフォローアップコースも始めました。基本編、発展編と取り組みながら試行錯誤中の報告ですが、皆様の関心も高く、当日は60名の医療機関、通所施設、就労支援センター企業の方々の参加があり、アンケートも実に多くの方がびっしり記入してくださいました。

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今回は<発展編>ということでCESの構造はもちろんのこと、前回の報告会後の新たな取り組みの報告となぜその取り組みが必要になったのかを講師の中村先生が独特の深くて広い語り口で解説。就労移行支援事業所ピアスからはGOOD=BADセッション、台本作りなどプログラムの具体的な内容について説明しました。スライド、シートを使用、職員、当事者との実演LIVE(ロールプレイ)などを駆使して、なかなか伝えにくいセッションの様子を初めて再現してみました。「実際の様子が良く分かった、イメージが出来た」「見学だけでは見えない部分の説明が参考になった」「運営の方法がとてもうまいと感じました。」「皆さんの暖かさが伝わってきた。当事者の笑顔も素敵でした」「今後の仕事に反映させていきたい」「発表を楽しんでいる様子が伝わった」など沢山お褒めの言葉を頂きました。

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その後就労3年目のCES初期メンバーのOさんとCESを通してたくさんのご自身の気づきと変化があったNさんにお話しを頂きましたが、Oさんの「自分の気持ちを話すことが昔はできなかったが今はそれが当たり前のことになった」という言葉やNさんの「できないことをできないで終わらせないでチャレンジさせてほしい」という言葉は、ご本人達の「やってみたい!」という言葉に対してどうしても保守的になってしまいがちの支援者に対して踏み込む勇気を与えてもらえたような気がします。参加者からも「相手に言ってほしいことを先に考え、セッションに取入れるという視点が新しい着眼点に思えた」「支援者からのやってみない?の声掛け。大切な言葉を受け取った」などの感想がありました。

今回、自分で課題抽出することの難しさ、だからこそ客観的視点から出された課題へ取り組むセッションを取り入れたことを報告しました。しかし自分の今までのコミュニケーションを変えていかなければならないということは特に発達障害の方にとっては難しい課題です。これにはご本人だけの頑張りだけではなく、職員の関わり方によってその方が気付けること、得られるものが大きく影響すると思います。CES参加者からは「CESから離れると元の自分に戻ってしまう」という不安の声が上がっています。私たち支援者がその言葉に対して答えられることは何なのか、また、ご本人たちの力で切り開いてもらわなければいけないことは何なのか、一方だけが頑張るのではなく一緒に歩んでいける方法が少しずつわかってきたように感じます。
「当事者の言葉が沢山聞けて嬉しかった。同じ内容でまた研修して欲しい」
「こういうノウハウ、取り組みを公開することは素晴らしい」
という皆さんの言葉を励みに、私達も更に内容を充実させていきたいと感じた研修でした。

ピアス SES担当
本田 美咲

「発達障害をもつ方へのCESプログラム〈発展編〉」開催のお知らせ

研修会 2015/01/21

働く現場で必要なコミュニケーションスキルを得るために

CESプログラム開始から早3年。この間に、参加者の中から就職者も増えたため、卒業生のためのフォローアップコースを25年度からスタートしました。始まってみると、「職場はこのような応用編のやり取りが必要なのか…」というような生々しいやりとりが飛び交う事もしばしば。
このフォローアップコースから、それぞれの課題に客観的な視点を入れる新セッションが基本コースに加わりました。
今回は、各コースの参加者たちの生の声も交えながら、このCESプログラムの新しいセッションを中心に報告します。
改めて、コミュニケーションに課題を感じる当事者とどうかかわっていくか、何を提供していくか、をそれぞれが考えるきっかけになればと思っております。
就労支援に関わらずとも、発達障害の方への支援に関心のある関係機関の方のご参加もお待ちしております。

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