【連載】時事伴奏②~ニュースと共に考える

法人本部 2018/08/30

認知症検査第一人者、長谷川先生が認知症になったことを公開

多摩棕櫚亭協会 当事者スタッフ 櫻井博

読売新聞に平日連載されている「時代の証言者」というコーナーがあります。

ここに8月11日から長谷川先生の寄稿が特集されています。長谷川先生は認知症研究でも有名な長谷川式スケールという知能検査を作った人で、知っている人も多いかと思います。先生は、診断に使われる認知機能検査の開発者という一面をもちながらも、認知症に罹ったことを昨年の講演会で明らかにしました。このコーナーはかなりつっこんだ内容が書いてあり、時として心揺さぶられることがあります。

この「時代の証言者」というコーナーでは無罪判決を受けた元厚労省の村木厚子さんの証言が連載されたこともあります。

村木さんは警察の取り調べの様子、家族が一致団結して励ましあいながら裁判の日を迎えたこと、面会でたくさんの本を持ってきてもらい、拘留されている間にたくさん読書したことなど、本人の内なる声として語られていました。

今回私が取り上げた長谷川先生も自身の認知症という病気を何故公表したのか、生きる上でなにが大切かをお書きになっています。特に印象にのこっているのは、「聞くという行為はその人が話すまで待ってあげること」で、「その待つという行為がその人に自の時間を差し上げることだ」(連載10回目抜粋)}と書かれているところです。

病気がある人の目線で話す大切さを説き、パーソンセンタードケアが大切であり、「なぜ生きるか」と問う姿勢に私は大変感銘をうけました。また、元気をもらいました。(*パーソンセンタードケア…認知症をもつ人を1人の“人”として尊重し、その人の視点や立場に立って理解し、ケアを行おうとする認知症ケアの考え方/トム・キッドウッドの提唱)

ふと振り返ってみれば、私は自分の病気のことを深く知りたくて、精神保健福祉士の勉強をしたのを思い出しました。その思いを今の仕事につなげていく努力を怠らず進みたいとあらためて思いました。

長谷川先生は今年の2月に89歳になられたとのこと。

現在先生は、今年の9月敬老の日を目指し、絵本の出版を予定しているようです。

私が先生の年まで生きていられたら、統合失調症の絵本を描きたいとそんな夢を描いています。

(了)

東京新聞(8/29付)で理事長がコメントしました

法人本部 2018/08/29

障害者雇用、官公庁水増し問題について「東京新聞 社会面(平成30年8月29日付朝刊)」で小林理事長がコメントを出し、多摩棕櫚亭協会ピアスの活動が記事で取り上げられました。

無題

ナイトユニットを行いました!【9月の予定をお知らせします】

棕櫚亭Ⅰ 2018/08/27

8/24(金)、ナイトユニットを行いました♪

去年は棕櫚亭30周年の記念フェスがあったため、行いませんでしたが、夕方から集まって夜ご飯を食べて花火をして、谷保第1公園のお祭りへ行くイベントです(^^)/

普段お祭りや花火など、なかなか行く機会がないメンバーさんもたくさんいらっしゃるので、棕櫚亭Ⅰの夏の風物詩になっています♪

お料理の杉田先生にも来ていただき、今年のメニューは【手巻き寿司・からあげ・そうめん】でした☆

HP用① HP用②

みんなで囲むごはんはおいしさ倍増でした(*^_^*)♪

その後風が強かったため残念ながら花火はできず、そのままお祭りに向かいました。

おなかいっぱい夜ご飯を食べたはずなのに、お祭りではフランクフルトやポップコーンなど、ついつい手が伸びていました(^^)

夏を十分に満喫できた1日となりました。

HP用③

 

 

 

 

 

そして9月は、、、
くにたち福祉会館さんで行われる、『福祉のつどい』で絵画展示をさせていただきます(^O^)

去年一昨年と参加させていただいたので、今回で3回目の参加になります!
去年はこんな様子でした(^^)/

HP用⑥ HP用⑦

力作を制作中ですので、是非見に来てください!

そして9月はみなさんお待ちかねBBQがあります!
詳しくは下記の予定表をご覧ください!(^^)!

9月の予定表はこちら→9月月間予定表

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【求人情報】非常勤調理スタッフ募集しています!

法人本部 2018/08/20

多摩棕櫚亭協会では、非常勤調理スタッフを募集しています。

近隣にお住みの主婦の方も働いていただいていて、明るい職場です。勤務日数、時間等、条件については相談できますので、お気軽にお問い合わせください。

詳しくは → ココ

又は、トップページ下の職員募集からご覧下さい。

不明な点やご質問がございましたら、下記までお問い合わせ下さい。

 

社会福祉法人 多摩棕櫚亭協会(たましゅろっていきょうかい)法人本部  高橋・小林

042-575-5911 (9時~17時/土・日・祝祭日お休み)

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(8/20更新・会場変更しました)精神障害者就労定着支援連絡会 第1回セミナーのお知らせ

オープナー 2018/08/20

【最終更新:8月20日(月) ※多数のお申込をいただいたため、会場を変更しました!

今年度よりオープナーでは東京都福祉保健局による「精神障害者就労定着支援連絡会」を事業受託しています。

この度、シリーズ第1回として「『精神障害とは何か』 企業が知りたい病気の基礎知識と応用」と題しセミナーを行うこととなりました。

「精神障害とは何か」 企業が知りたい病気の基礎知識と応用

講 演 : 藤田英親院長(国分寺すずかけ心療クリニック)

・日時  2018年8月30日(木) 13:30受付 14:00~16:00
・場所  立川グランドホテル 3階 サンマルコグランデ 新会場のお知らせはこちら
・対象者 精神障害者の方をすでに雇用している企業担当者、これから雇用しようとしている企業担当者、就労支援機関(就労移行支援事業所)
・定員  100 名
・申込〆切 8月22日(水)まで 受付を締め切りました

詳しくは以下をご覧ください。

精神障害者就労定着支援連絡会 第1回講演チラシ

多くのお申込を頂戴している為、掲載しておりましたチラシ・申込書は取り下げさせて頂きました。ご入用・ご不明な点がございましたらオープナーまでご連絡下さい。

特集/連載 Part ❶『ある風景 ~共同作業所棕櫚亭を、私たちが総括する。』”はじまりにあたって”

法人本部 2018/08/17

ある風景 ~共同作業所棕櫚亭を、私たちが総括する。

『ある風景』 はじまりにあたって

社会の利益(公益)とは?

「役人たちは、公益性を定義するのは国家の側であり、国家の役人がやっていることが公益に即することであって、民間の人間がこれに異を唱えるのは公益に反するということを、ほとんど無前提にいうのです。」(中略)「人々が求めるものは何かというところから出発するのではなく、国家の法律の中にどう定義されているそれを守る機関はどういう組織であるのかから出発して、その組織に従うことが公益であるみたいな、頭からの公益論ができてしまっている。これでは文化も教育もあったものではありません。」

『原発事故はなぜくりかえすのか』 高木 仁三郎著 岩波書店 から抜粋

「(社会福祉事業を含む)『公益』を定義付けるのは、国の役人である。そして、国民の要請から『公益』が生まれるというよりも、法律や所管庁などの仕組みから逸脱していないものが『公益』であるという考えが役人の頭の中にある。これでは『公益』に文化や教育などの視点が根付くはずがない」ということが科学者の高木仁三郎さんの主張です。

高木さんは、この書物の中で、このような公益に関する、国のずれた認識が「原発事故をくりかえす」根本の原因ではないかと結論付けています。

ちなみにこれからお話しする精神障がい者共同作業所(以下、作業所という)は、長らく「法外施設」と呼ばれていました。つまり上記引用の定義によると、法の外に置かれた作業所は「公益」ではなかったということなのでしょう。

公益性をもった作業所は、変わらず精神障がい者を幸せにしてくれるのか?

そんな作業所も、平成18年に施行された障害者自立支援法に吸収され、ようやく法律の枠に組み込まれました。上の理屈から言えば、法律によって国からようやく「公益性」のお墨付きをいただいたわけです。

これは、精神障がい当事者にとっても喜ばしいことですし、職員にとっても喜ばしいことであったと思います。

但し、公益性を獲得するまでのプロセスは、上の文章とは大きく違っています。そもそも、法律などお構いなしに“精神障がい者が求めるものが何か?” という視点に立って、作業所活動は開始されました。当時、国はそれに対して「無認可」というレッテルを張ったのです。しかしその活動は大きく広がり、もはや無視できないぐらいの存在に育っていきました。そんな中、前述の通り、作業所は法内施設・事業へと移行・吸収されていったのです。つまりこれは、プロセスからいくと、私たちの先輩達が勝ち取った「公益性」と言えるのではないでしょうか。その後、作業所は、利用者にとって解り易く、合理的で、機能的なネーミングをつけられ区分されていきました。例えば「就労移行支援」「就労継続支援」「自立訓練」などに区分されていることからもわかります。

しかし、「公益性」といういったんのゴールを果たしたこの作業所が、過去と変わらず精神障がい者を幸せにしてくれるでしょうか? 変化の中でこぼれ落としたものはないでしょうか? 法内化(公益化)という落としどころ、つまり、終わり良ければ総て良しという話は、いかにも前向きで通りやすいのですが、はたしてそうでしょうか。

何となく不安になってくるところではあります。

作業所でやり残した、活動の総括(まとめ)をしたい

棕櫚亭も例外ではなく、今となっては「作業所」という存在はこの組織にはありません。それでは、懐の深かい支援をしてきた作業所がなくなることによって、多くの大切なものを失ったのでしょうか? いや、そんなことはありません。私たちの諸先輩は「棕櫚亭には文化がある」と言いました。

しかし、棕櫚亭の作業所活動の側面に文化があったとするならば、その文化とは何だったのかと、ふと思います。文化とは「伝統的に人々の心から心に受け継がれていくような内面的な行動様式」とするならば、作業所活動から引き継がれたその文化とは何かを考え、今私たちがそれを書き残さなければいけないと考えました。

繰り返しになりますが、障害者自立支援法施行後、あえて残したいと思っても、実質的に存続は難しく作業所は幕引きを行なわなければいけませんでした。しかし、法律ができたからという消極的な形での幕引きではなく、作業所活動とは何だったのか、残さなければいけないものは何か、こぼれ落ちたものはないかということをきちんと文章化し、消化して、次のステージへと歩むべきだと考えました。ある意味引き継いだものの使命でもあるかもしれません。

棕櫚亭の総括から、繋いでいく、紡いでいく

ある風景 ~共同作業所 棕櫚亭を、私たちが総括する。

ただ、私たちは、学者ではないし、どちらかと言えばたたき上げの現場職員です。文章を書くと言っても、そんな大それたことは書ききれないかもしれません。そこには明確なロジックはないかもしれませんが、しかし活動に関わった強い思いはあります。そして、その頃の目に焼き付いた風景、そしてその匂いも覚えています。

だとしたら、その頃私たちの目に映った風景を思い起こし、その風景がもつ意味を考え、さぐり、次世代に引き継いでいくべきもの(文化など)、残さなければいけないことを搾り出して書き残し、それを束ねて「共同作業所棕櫚亭の総括(まとめ)としたい」と考えました。いろんな視点から個々の思いを書き残すことによって、より深みのある総括になると考え、作業所活動に関わってくれた複数のOB・現役職員・関係者にも原稿依頼をすることになっています。

この新企画 『ある風景 ~共同作業所棕櫚亭を、私たちが総括する。』 は、このまえがきを前段に、9月始めから連載開始し、概ね3週間の間隔での投稿を予定しています。

前書きは、少し小難しい話になってしまいましたが、読み手である皆さんにも一緒に棕櫚亭の歴史の一端に触れ、その将来を創造していただける企画にしたいと思っていますので、御愛顧のほどよろしくお願いいたします。

編集: 多摩棕櫚亭協会 「ある風景」 企画委員会

もくじ

 

8月17日(金)新企画/連載が始まります!

法人本部 2018/08/14
グリコ・森永事件を知っていますか?

最近読んだ興味深い本を皆さんに紹介したいと思った。「未解決事件 グリコ・森永事件 捜査員300人の証言(新潮文庫)NHKスペシャル取材班」である。「キツネ目の男」という言葉と写真は、当時強烈なインパクトがあった。

と、ここまで書いたところで、もしやこの話はこの文章を読んでいただいている皆さんに、ピンとこない話題かもしれないと思い始めた。昭和59年の未解決刑事事件である。

あわてて、一回りも違わない職員に問いただしたところ「なんとなくしか、わからない」という。愕然とした。また年をとったということを強く意識させられた。2.0の視力を誇っていたのに、新聞の文字が読めない。下手すると、食事の時に何を食べているのか判然としない事もある。こうなると食の楽しみが半減してしまう。老眼になったことといい、このところ一段と身体の衰えを感じる。あぁ、そんなことはさておき、それは次のような事件だった。

グリコ・森永事件(グリコ・もりながじけん)とは、1984年昭和59年)と1985年(昭和60年)に、阪神を舞台として食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件。警察庁広域重要指定114号事件。犯人が「かい人21面相」と名乗ったことから、かい人21面相事件などとも呼ぶ。2000年平成12年)2月13日愛知青酸入り菓子ばら撒き事件殺人未遂罪時効を迎え、全ての事件の公訴時効が成立し、警察庁広域重要指定事件では初の未解決事件となった。(ウィキペディアより)

グリコや森永製菓の、子供の食べるお菓子に青酸カリを仕込んで、それをスーパーの棚に並べるぞなどと企業を脅迫したのである。脅迫文を企業やマスコミに送りつけたり、「かい人21面相」と名乗ったりしたことから世間の注目を浴びた。しかも、お金の受け渡し時に捜査員に目撃されたり、たくさんの物証を残したことから、早期解決するであろうといわれたが、結果的に、時効で未解決になっている。読みすすむにつれ、私にとっては全く知らなかった数々の事実に驚かされた。

今回、この本では、事件の経過の詳細に加え、「どうしてこの事件が未解決になったのか?」ということが丹念に書かれている。そして、後段では、この未解決事件から学ぶべきものは何かということについても、紙面を割いている。

ざっくりまとめると、学ぶべきものが何かを探るため、あるいは将来に生かすためには、「総括」(=全体を見渡して、まとめをすること)が必要だったという結論である。

確かに、うまくいかなかったことなど振り返りたくはないものである。実際、この本もたくさんの捜査員に証言を取っているのが、彼らの口は一様に重く、「いまさら、何をほじくりかえしているのか」と証言を拒否する人もいたそうだ。

何が問題で、次回にこうすればよいということは、「言うは易く行うは難し」である。

新企画を立ち上げるにあたって

さて、少し回りくどい話になってしまったが、ここからが、この文章を書こうと思った核心の部分になる。

棕櫚亭31年の歴史の始まりは、共同作業所だった。残念ながらこの共同作業所は、今この組織には存在しない。障害者自立支援法という法律ができ、そこに飲み込まれたような感覚がある。あっという間の出来事であったため、自分達の作業所活動について、酸いも甘いも、きちんと振返りができず、不全感があった。その感覚は、福祉サービスがよりサービス化される中で(変な日本語ですね)より強くなっていた。

「サービス」という言葉を辞書で紐解くと、「職務としての役務の提供」とある。確かにその通りなのだが、「福祉+サービス=福祉サービス」と考えるならば、その語感に対して私などは未だに違和感がぬぐえない。感覚の問題かもしれないが。

そんな話を、周囲の職員に漏らしたところ意外や意外あっさりと同意を得られた。「みんなそう思っていたなら言ってくださいよ!」という気持ちと、だとしたら、その思いを深め、何らかの形にしたいと思った。

グリコ・森永事件ではないが「昭和は遠くなりにけり」とは、よく言ったものだ。悲喜こもごも、来年は平成も終わりを迎える。そういう意味では、先送りにしない事が大切なのだと思った。

 

とどのつまりは、棕櫚亭ホームページの新企画のPRです。

取り扱う内容やテーマについては、上の文章がヒントになっています。企画した当人が言うのも変ですが、すごく面白くなる予感があります。予感というのは、まだ手をつけていない部分が大半だという言い訳でもあります。

ということで、今週末の8月17日(金)に新企画が始まります。詳細は当日をお楽しみに!

多摩棕櫚亭協会 「ある風景」 企画委員会

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期間限定連載「時事伴奏」をよろしくお願いします!

法人本部 2018/08/09

「時事伴奏~ ニュースをともに考える①」

多摩棕櫚亭協会 当事者スタッフ   櫻井博

 ◆ はじまりにあたって

往復書簡を書き終え、次の企画でなにをするかこの間考えていました。書簡が自分の過去や病気の振り返りでしたので、目を外に向けて例えば社会ニュースを題材に自分の考えを書いてみたいと思いました。goriIMGL9697_TP_V1

従って今回この企画では、毎月ごとに気になった時事ネタを取り上げ私なりの意見を書いてみたいと思います。トピックスということではホームページアップと時間のずれがあるかとは思います。その点は十分に考慮して題材を選んでいきたいと思います。

私が選んだテーマ(社会に起こる出来事やニュース)を皆さんにも追体験していただきながら、いろいろな視点から「一緒」に考えていただけたらと思っています。連載期間としては半年を予定していますのでよろしくお願いします。

 今月の気になるニュース ~日本ボクシング連盟の問題

◆ 私にとってのボクシングとの出会い

私が高校時代、「ロッキー」という映画がつくられました。ハリウッド映画としてはお金もかけていないし、ストーリーも単調だと一部評論家も言っていましたが、結果的に大ヒットしました。この作品を作った無名の監督は、正にアメリカンドリームを果たしたのですが、同時にこの映画で、ボクシングとは如何に実力がものいう世界ということを示し、このスポーツが脚光を浴びることになりました。

◆ 日本ボクシング協会で何が起こったのか ~マスコミ報道から

今回のこのボクシング連盟の問題のポイントは、組織の中で、ある特定の人物が強大な力を持ち乱用し、物事をゆがめたのgahag-010698ではないか?ということです。具体的には、日本ボクシング協会の会長が不適切な助成金を流用したことやインチキな審判をするよう働きかけたことという二つの疑惑です。但し、私自身はマスコミ報道の扱いにも問題があって、会長の人物像を面白おかしく扱って、焦点がぼやけてしまった感じもあります。

インチキというのは、会長が判定を自分が推すボクサーに判定で勝つよう圧力をかけるということです。先日以来、問題となっている「忖度(そんたく)」があったかということです。「忖度」の意味はもともと「他人の心中をおしはかること。推察。(広辞苑 岩波書店)」とあります。「相手の気持ちを妙に配慮する」という最近はやりのこの言葉は、悪い意味で使われることが多いように思います。少し前に流行った「空気をよむ」と同様な言葉で、現代社会を象徴するもののような気がします。

さて、話を戻しますと、少し前になりますが、日大アメフト部での問題は監督、コーチが自分のチームの選手に相手にケガをさせるように強要した事件もありました。プレイに関わらない選手に後ろからタックルする映像は何度となくテレビに流れました。ケガをさせた選手が一人で真実を述べるという記者会見を行い、監督、コーチは懲戒免職というかたちで終わりました。これなども監督という立場を使った権力の濫用といえるのではないでしょうか?

結局、この問題は複数の人の告発というかたちでマスコミに取り上げられました。

権力が集まる中枢の人物が現場の人(日本ボクシング協会では審判、日大アメフトでは選手)に圧力をかけても、それを告発する人がいるという精神風土が日本にはまだまだあることはせめてもの救いでありました。

◆ 日本の闇は、他人事ではないかも?

最近読んだ小説で池井戸潤の「空飛ぶタイヤ」というのがあります。映画にもなった作品です。不良部品によって大事故が引き起こされましたが、その欠陥をひた隠しした大企業である自動車会社と、整備不良を疑われた中小運送会社の社長の戦いの物語です。社長である主人公の正義感が何度となく折れそうになりますが、最後には勝つという話であります。

先ほどの話ではありませんが、自動車会社といういわば大権力との戦いでもあり、この小説に人気が集まるのは、日本人の間ではこの手の話がそこらにへんに転がっていることの証左であるのかもしれません。

私の働く福祉の世界ではこういうことを耳にすることはあまりありませんし、実経験もありません。ただし、精神医療・病院の場合はどうなのでしょうか?

かなり、最近は医師と患者の間ではインフォームドコンセント(説明責任)などがすすんできて、比較的対等な関係になってい無題るような気がします。丁寧な説明をしてくれる先生、優しく接してくれる先生も増えてきているような気がします。しかし、そもそも医療には医師を頂点としたヒエラルキー(ピラミッド型の階層)があるといわれています。例えば、山崎豊子の「白い巨塔」には医学界に関わる人物の傲慢さやいやらしさなど、理想的な医者の人や裁判でやむにやまれず偽証した医者が最後には真実を言うすがたも思い出されます。これはなどは極端かもしれませんが、「医療における権力構造」の一端を見た思いがしました。もちろんこれは小説の世界でしたが。

ヒエラルキーは緊急時の人命救助など、治療に対して、組織が同じ方向を向くための指示系統の仕組みとして医療の中に作られているのだと、いい意味で解釈しています。しかし、その仕組みが少なくとも私たち治療を受ける者にとって権威的ではなく(医師からの一方的なものではなく)、しかも治療上の不利益にならないという視点で見ていく必要があるのではないかと私は考えました。

そのように考えると、ボクシングの問題も日大のアメフト問題も私たち精神障がい当事者にとって、全くの他人事ではないように思います。

皆さんはどう思われますか?

(了)

台風13号に関するお知らせ

そのほか 2018/08/08

台風13号が近づいています。お気をつけください。

再接近が8日14時時点で、8日夜半から9日明け方と予想されています。

多摩棕櫚亭協会の各事業所とも9日(木)は、通常時間の開所となります。

朝交通機関の乱れも予想されますので、安全第一にお越しください。

変更がある場合は随時ホームページで更新していきます。

(8日 14時 更新)

多摩棕櫚亭協会

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【ピアスのプログラム紹介】 業務体験プログラム

ピアス 2018/08/02

今回は、ピアスⅡで毎週(水)に行っている「業務体験プログラム」をご紹介します。皆さんは、ピアスの広報誌「はれのちくもり 別冊ピアス通信」をご覧になっていらっしゃいますか。実は、このピアス通信は、業務体験プログラムで作成し、毎月発行しています。メンバーが参加して、記事の企画から校正作業、印刷、納品準備とすべての工程に関わって頂いています。

参加メンバーは、パソコンでの校正作業をするグループと企画の準備(インタビューやアンケート)をするグループに分かれて作業をします。

「はれのちくもり 別冊ピアス通信」の発行は、地域や関係機関、メンバーOB等の方々に「ピアスの今」を知って頂くことはもちろんのこと、この業務体験への参加を通して、メンバーご自身の業務の進め方やコミュニケーションの傾向を振り返っています。つまり、業務体験プログラムへの参加は、その方の強みや課題を整理して、ピアスの次のトレーニングにも活かせるようになる事を目指しているということです。また、自己理解を深めていただくことにもつながっています。

最後に、これまでにこのプログラムに参加したメンバーの感想を紹介します。

  • 「今回の編集作業を通して、編集の大変さはもちろんですが、わからないことは悩まずにすぐに質問するということが大事なのがわかりました。あとはパソコンの技術が少しあがったかなと感じました。」
  • 「業務体験プログラムを体験して、自分の苦手な事や、癖等が明らかになり、これからの業務に活かせるであろうアドバイスも頂けとても有意義な時間を過ごさせていただいています。」
  • 「今回から参加させていただくことになりました。初日からドキドキ緊張しながらの参加となりましたが、とても遣り甲斐を感じています。まだまだ、慣れるまで時間がかかりそうですが、頑張りたいと思っています。」

ぜひ読者の皆様には、紙面へのご意見をいただけると有難いです。

 

ピアス 下村 仁人

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