各施設の冬休みについて

法人本部 2017/12/28

今年も多摩棕櫚亭協会をご支援いただきありがとうございました。

新しい年もお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。

法人内の各事業の冬休みは以下の通りになります。

ピアス   12/29(金) ~ 1/3(水)

オープナー 12/29(金) ~ 1/8(月)

なびぃ   12/29(金) ~ 1/4(木)

棕櫚亭Ⅰ  12/29(金) ~ 1/4(木)

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い致します。

社会福祉法人 多摩棕櫚亭協会

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職員募集(常勤・産休代替)について

法人本部 2017/12/27

多摩棕櫚亭協会では、若干名の職員募集を開始しました。

詳しくは コチラ をどうぞ。 尚、法人本部の冬休みは12月29日~1月4日までとなっております。

お問い合わせ等は、社会福祉法人 多摩棕櫚亭協会(042-571-6055) 人事担当まで

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『往復書簡 1 – 櫻井博 と 荒木浩』 Part ❻ “性格と病気について -櫻井 博からの手紙”

法人本部 2017/12/27

往復書簡 01 荒木浩と櫻井博 Part4 くくりつけられた心。主治医との出会いがもたらしたもの

性格と病気について

医師と向き合うとき考えること。

前略
荒木 浩 さま

荒木さん返信ありがとうございます。
医師に関しては、脳に正しく作用する(妄想、幻聴がない状態、副作用で多少、手がふるえたり、眠気があっても)薬を処方する医師の役割に期待しています。荒木さんの言われる「何かだけに頼りたくない」というのは、自分の状態をよりよく維持する為には医師の力だけではないことを知っているからだと思います。それは現実の決定しなければならない問題に直面した時、そうなった経緯、場の状況を医師は詳しく知らないと思うからです。薬は確かに脳の器質的なものには作用します(それは薬を飲んでいる自分が感じています)。

状況をよく知らない医師の意見が果たして正しい決断に影響するか。そこにカウンセリングの力が役立つか疑問に思うからです。

往復書簡 01 荒木浩と櫻井博

櫻井 博

自分を形成した10代のころ。

さてこういう風に思う自分の性格は、病気の変遷とともに自分の中に形成されてきました。
病気になる前には性格はおとなしく、どこにでもいるふつうな学生でした。病気になって性格を意識するようになったのは、性格がしっかりしないと、他人に中にはいり踏み込まれたり、自分が流されてしまうことを知るようになったからです。病院では暴力など(言葉の暴力も含む)があることも知りました。もともとおとなしい性格は、ここで初めて思春期にアイデンティティの確立を10代最後の年代にしなければならない事を知ります。
何十年も幻聴と妄想に悩まされ、これは病気ではなく性格の問題ではないかと思うこともありました。対人関係がうまくいかないとき、「相手の考えは変えることはできない。自分が変わらなければならない」などと書かれているハウトゥー(How to)本をこぞって読みました。
第3回目で書いたギャングエイジを経験しないのが、君の病気の原因だと、主治医から言われることもありました。
精神の疾患を書いた本のよく言われている自我の確立と言い換えてもいいかもしれません。
さて学校も卒業し、就職もしてしまった私はどこもにも自我を確立する練習場所がないと諦めていましたがありました。
「病院」です。

自我と他我。

ここでゆるがない自我をきづき、他者には侵入されない考え方をもつことの大切さを身をもって得られるほど病院はいろいろな人がいました。自我と他我(※1)のあいだにこそ境界線をひかねばならない大切さを身をもって体験します。
以前シュロの会という家族会の勉強会で慶応大学の先生の「統合失調症の原因は、他我が自我を攻撃し浸食してくると話をしていたのを聞いて、「これだ」と思いました。丸い中心部分に自我があり、その回りを他我が円で囲っているという図式で、他我が中心の自我に入ってくるという統合失調症の原因理論でした。この理論から自分が人に影響されやすかったり、他人の目を意識しすぎる理由がわかった気持ちがしました。
病院で得た体験を生かし、(私は自我の形成だと思っていますが)生きていこうと思いました。
フロイトなどの専門書を読んでもよくわからなかったですが、家族会での先生の説明は腑に落ちたという感じを得ました。

(※1)自我と他我…哲学用語。自我とは、他者や外界から区別して意識される自分。他我とは、他者に存在すると考えられる我のこと。

坂口安吾「堕落論」との出会い。

高校時代読んだ坂口安吾の「堕落論」は10代最後の自分の性格に大きく影響を与えました。この本は第二次世界大戦後書かれた随筆で、「堕落は人間の本性にそなわっていると洞察し、その人間の本性は政治の変革などでは変わることも救われることもない」、「そうした他者からの借り物ではない、自分自身の美なる真理を編み出す為には、堕ちるべき道を正しく堕ちきることが必要」と述べています。「堕落してそこから這い上がることに意味を見出す」という考えに共感を持ち、ストイックに自分を追い込みました。大学受験浪人するまで、のんびりしていた性格が一年で大きく変わりました。有名校に進学する夢をみながら、一年間勉強し続けました。性格はとげとげしたものに変わりストイックに自分に課題をかす、楽しみのない一年でした。最初に勉強しすぎたために病気になったと書きましたが、むしろ性格が厳しいものを追及する、いわば自分の力以上のものに近づく為無理をする性格をうみだした結果ではないかと思います。
一匹オオカミに憧れる、そんな性格形成をしてしまった。どこかで「力もないくせに。」と思いながらです。
でもこういう性格の持ち主でも病気にならない人もたくさんいる社会ですから、病気と性格の関連を考えることは難しいことだと思います。
今ふりかえっても10代の最後の頃はいろいろな考え、思いもありました。この時期になんでも話せる人間関係が大切だったと、今思います。
もともとのんびりして、とても社交的ではなかった性格が、内向的になるとともに、他者や自分に対しては厳しいものを求める。そのへんのアンバランスさももしかしたら、孤立に拍車をかけていたのかもしれません。
数少ない友人を通じて世の中をみていたのも、今思うと社会性に乏しかったとふりかえれます。

草々

櫻井 博

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いつも往復書簡をお読みいただきありがとうございます。

冬休みになりますのでエネルギーチャージしたく、大変申し訳ありませんが、1月は17日と31日の第3・第5水曜日公開となります。新年もよろしくお願いいたします。 

櫻井 博 ・ 荒木 浩

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「手紙」を交わすふたり

櫻井 博

1959年生 57歳 / 社会福祉法人多摩棕櫚亭協会 当事者スタッフ(ピアスタッフ)

大学卒業後、職を転々としながら、2006年棕櫚亭とであい、当時作業所であった棕櫚亭Ⅰに利用者として通う。

・2013年   精神保健福祉士資格取得
・2013年5月  週3日の非常勤
・2017年9月  常勤(現在、棕櫚亭グループ、なびぃ & ピアス & 本部兼務)

荒木 浩

1969年生 48歳 / 社会福祉法人多摩棕櫚亭協会 ピアス 副施設長

福岡県北九州市生れ。大学受験で失敗し、失意のうち上京。新聞奨学生をしながら一浪したが、ろくに勉強もせず、かろうじて大学に入学。3年終了時に大学の掲示板に貼っていた棕櫚亭求人に応募、常勤職員として就職。社会はバブルが弾けとんだ直後であったが、当時の棕櫚亭は利用者による二次面接も行なっていたという程、一面のんきな時代ではあった。
以来棕櫚亭一筋で、精神障害者共同作業所 棕櫚亭Ⅰ・Ⅱ、トゥリニテ、精神障害者通所授産施設(現就労移行支援事業)ピアス、地域活動センターなびぃ、法人本部など勤務地を転々と変わり、現在は生活訓練事業で主に働いている。

・2000年   精神保健福祉士資格取得

もくじ

 

Photography: ©宮良当明 / Argyle Design Limited

忘年会を行いました♪

棕櫚亭Ⅰ 2017/12/26

今年も去年に引き続き、谷保駅のすぐ近くにあるインドカレー屋さんの『TARA』さんを貸切にしていただいて行いました。

お店の予約や当日の進行などはプロジェクトメンバーさんがやってくれました♪

HP用④

 

←司会をやってくださっている様子です!

 

 

 

そして今年もナンとご飯の食べ放題です!

HP用① HP用②

 

 

 

 

 

おいしそうなカレーを前についつい笑顔がこぼれます(^O^)

HP用⑤

 

 

 

 

2枚3枚とナンをおかわりし、おなかいっぱいいただきました。

そしてそのあとは、一人ずつ今年の振り返りと去年の目標を☆
みなさん今年一年間とても充実していたようで、来年に向けて前向きな目標を聞くことができました(^^)/

棕櫚亭Ⅰの今年の活動は明日で終わりになります。
それではみなさんよいお年を!

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ピアス卒業生の方へお知らせ☆忘年会やります☆

ピアス 2017/12/22

直近のお知らせになりますが…

12/28(木) 15:30-18:00ピアスの忘年会を行います!歌(バンド!?)あり、クイズあり、ビンゴあり♪軽く食べ物も用意します。今、当日に向けてみんなでコツコツ準備を進めています。トレーニング今年最終日にみんなで楽しむことにしました 🙂

現役メンバーさんや懐かしいスタッフと一緒に楽しみませんか?

景品、食べ物の準備の都合上、来れそうな方は、ピアスにご連絡いただけると助かります。

みなさま、お待ちしております♪     (長野・増田)

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就労支援基礎研修のお知らせ

ピアス 2017/12/20

ピアスも参加している全国就労移行支援事業所連絡協議会の研修のお知らせです。ピアスからもOBの川崎さん、職員の吉本が事例報告します。ご興味ある方はご参加ください。

お申し込みの際は、以下をクリックしてご利用ください。
事例集報告会 チラシ ver.5

事例集報告会 チラシ

 

1月の予定表をお知らせします

棕櫚亭Ⅰ 2017/12/20

 
年末にも近づき、棕櫚亭Ⅰも年内のイベントは大掃除と忘年会のみとなりました。

1月には大國魂神社への初詣や富士見台2丁目集会所での初釜も予定しています(^^♪
その他にも、メンバーのご家族との家族懇談会も予定しています。

詳しくは↓↓↓をご覧ください!

1月の予定表はこちら→1月月間予定表

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秋の職員研修実施報告

研修会 2017/12/19

10・11月と連続して法人内研修を実施しました。 まず10月6日に「権利擁護研修―意思決定支援について」として、法人の第3者委員で早稲田大学の岩崎香さんに来ていただきました。イギリスにおける「意思決定能力法」を使っての説明は、意思決定支援の仕組みを考える上での基本の姿勢としてとてもわかりやすいものでした。特に、本人にとって危険や賢明でないことであってもおかす権利があることや、意思決定とは私たちが考える本人の利益ではなく本人の最善の利益のために行わなければならないことなど、つい支援者が思い込んでしまうポイントを再確認できたと思います。また、そもそも意思決定を尊重するためには、本人の価値を尊重し、ニーズを自ら表明できるよう支援する、そのための情報提供の方法を準備する必要があることも整理していただきました。権利擁護の視点からの研修でしたが、本人が決めていくプロセスに寄り添うこと、どう考えたかを理解しようと努めることなど、対人援助に必要な土台は変わらないということを改めて感じ、またその姿勢を日々続けていくことの大切さを肝に銘じた時間でした。

11月29日には、「対人援助実践の基本について振り返る」をテーマに、法人の元評議員で立川社協に勤務している比留間敏郎さんに来ていただきました。ご本人のニーズをどのように捉えるかという視点に加えて、スタッフとしての自分が置かれている状況をどのように分析するかを整理しました。素の自分と職業的な自分、その自分が組織の中で何を求められ、その役割に対してどこまで責任を持てるのか等を各々が考えました。特に興味深かったのは、自分の力量では無理な場合、やってくれる人を見つけることで自分の力や法人としてのやれる範囲が広がっていくということでした。自分とチームと法人のアセスメントをすることは、適切なサービスを提供する上でも、棕櫚亭の理念である「精神障がい者の幸せ実現のために地域を創造する」にもつながっていることを強く感じました。棕櫚亭をよく知ってくださっている比留間さんの例えはわかりやすく、作業中の隣同士のやり取りも面接であることや、アセスメントシートは書いて終わるのではなく、本人を理解して終わるのだなどのたくさんのポイントをいただきました。1年目から20数年目の者まで幅広い職員層で受けた研修でしたが、それぞれが持って帰れるものがたくさんあった3時間でした。

お二人ともお忙しい中ありがとうございました。

常務理事   高橋 しのぶ

 

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昭和記念公園にイルミネーションを見に行きました

棕櫚亭Ⅰ 2017/12/18

 

去年に引き続き今年も行ってきました!
12/15の金曜日に、昭和記念公園のイルミネーションへ(^○^)
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入口からキレイなイルミネーションが!
中に入ってみると、動物の形をしていたりドームの中でミラーボールが光っていたりと、とても綺麗でした。

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キレイな色に輝いているおうちも、、!

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みなさんとてもいい顔をしています♪

寒さの中ではありましたが、綺麗なイルミネーションを見て心があったまりました(*^_^*)

『往復書簡 1 – 櫻井博 と 荒木浩』 Part ❺ “力強い生き方のヒント ~ 判断と選択の連続を生きていく -荒木 浩からの手紙”

法人本部 2017/12/13

往復書簡 01 荒木浩と櫻井博 Part4 くくりつけられた心。主治医との出会いがもたらしたもの

 

前略
櫻井 博 さま

精神科医との距離感 ~ 櫻井さんの場合

~「現在精神科医とは程よい距離をとり、うまくつきあっていくことしか考えません」~

先日いただいた手紙のこの一文を読む限り、櫻井さんは精神科医師の存在をかなりドライにとらえていらっしゃる様子。これは意外でした。確かに思い起こすと、櫻井さんからあまり主治医の話を聞いたことがありません。勿論ドライというのは、軽視しているという意味ではありません。重要視しているのだが”全てにおいてではない”という意味に解釈しました。

我々支援者(いうまでもなく櫻井さんも支援者なのですが)は、精神障がい者と精神科医の強力な二人三脚と一途な信頼関係が、社会復帰への必要絶対条件のように考えがちです。そしてともすれば、利用者に何かあれば、安易に精神科医に話をもっていってしまうことが私自身過去に無かったとはいえません。乱暴な言い方をしてしまえば「精神科医が何とかしてくれるだろう」「問題は精神的なものにある」と言わんばかりに。今はさすがにそんなことはありませんが、これは反省しなければいけませんね。

そしてどうも目の前の櫻井さんは、問題を全て精神科医に解決してもらおうとは思っていない。

往復書簡 01 荒木浩と櫻井博 Part3 精神病の原因に対するささやかな反論

荒木 浩

精神障がい者の地域生活を支援する大切な視点

本音を言うといただいた手紙を読んで、私自身かなりハッとさせられました。作業所に利用者として通っていた櫻井さんが職員になるまでに紆余曲折があったことは薄々聞いていますし、その時期のなかで櫻井さんの心の中に大きな地殻変動があったのではないかと想像できます。支援を受ける側から支援する側にまわる、具体的には、利用者が精神保健福祉士の資格をえて職員になるという一つの社会復帰のモデル的な過程を経た櫻井さん。そんな彼が思う精神科医との「程よい距離感」についての解釈に当初悩みました。しかしここは「病気」と「障がい」の違いという視点に立ち戻って、次のように櫻井さんの考えを整理した結果、冒頭の「重要視しているのだが全てにおいてではない」という解釈を私なりにしてみたということなのです。

精神障がいの場合、幻聴、幻視、妄想、うつなどの「精神症状(精神病)」と、その精神症状に伴う生活の不自由さ、つまり「コミュニケーションがうまくいかない」、「家から出ることができない」などの「精神障がい」の面は支援をする上では分けて考えにくいことです。しかし櫻井さんの場合、薬を主体として「精神症状」のコントロールは医師に、ストレス対処や生活面での「障がい」の対処は信頼できる人に相談、解決しているようです。そういう意味では、少しきつい言い方ですが精神症状をコントロールできなかったという意味では、大学時代に出会った「面倒見の良い」先生の薬使いは櫻井さんを満足させることができなかった。

彼の考えを借りるならば、精神障がい者の生活支援においては、私たち地域の支援者の役割も少しは重くなるのではないでしょうか。少なくとも、精神保健福祉士という資格ということを離れて昔を振り返ったときに、上司や先輩にきつく言われたことは「支援者は、病気そのものに目を向けるのではなく、生活者としての視点にたち、信頼関係を作りながら考え行動しなさい」という言葉です。

櫻井さんは「(医師との)相談・意見交換が現実に沿わない」旨のことを話されていますが、もしかして精神障がい者の生活支援者としての自負を先輩方はこの言葉にこめていたのかもしれません。

何かを妄信しない生き方 人生は判断と選択の連続

そしていただいた手紙を読んでいるうちに、櫻井さんのもつ価値観の一端が薄っすらと見えてきました。つまり、櫻井さんは、決して一つのものを妄信していないということです。一般には医師を権威的に見がちですが、櫻井さんの場合そうではなく、自分に力になってくれる必要な方をきちんと判断し選ぶ。これは個人的には大切な考え方の様な気がします。

今や、現在があっという間に過去の話になってしまう、あるいは何が正しくて、正しくないのかわからない、言い換えると善悪の区別をつけることが簡単に出来ない複雑な社会になっています。例えば、ちょっと大きな話になってしまうのですが、ちょっと前まで「世界はグローバル化(国際化)の方向に向かう」なんて言っていたのに、今や「ナショナリズム(国家主義)」の台頭。地震と原発の恐怖とついぞ報道されなくなった日常生活。あれだけ批判されたトランプが選挙で勝って、なんだかいつの間にかそれなりにすっぽりとアメリカ大統領らしくおさまっていたりするのを見ると、魔訶不思議な気持ちになったりします。そんなスピーディかつグレーな世界の中で、価値観もマスコミのたった一言で揺らぐなか、心情的には権威的な何かにすがりつきたくなるものじゃないですか(ちょっと余談になりますが、グレーな世の中だからこそ曖昧さが苦手な発達障がい(※1)をお持ちの方にとってはますます生きにくい時代なのかもしれませんね)。そして以前書きましたが、私が忌み嫌っていた偏差値もそう考えると、裏返って実は私の大きな心のよりどころだったのかもしれませんね。大人になって考えると、こうも物事がひっくり返ってしまうことに驚愕してしまいます。

櫻井さんが生きる術として精神科医(他者)に対してドライであるという心情は、私もレベルは違えども解からなくもないという気持ちもあります。「他者を妄信しない、すがらない」という気持ちは、現役時代に大学受験に失敗して頼るものもないまま、東京に逃げるように住みつくころ沸き起こりました。高校時代に母子家庭になったため、経済面で母親に負担をかけることが出来ず九州での自宅浪人は無理だと考え、ほとんど無一文で上京。東京での食い扶持探しに奔走した日を悪夢のように思い出します。「明日はどうする、どうなる」と眠れない夜を過ごした日々でした。まぁ結果的に新聞販売所での住み込みの仕事に潜り込むことができたのですが、そのころは精神的に追い込まれていたような気がします。物理的にも精神的にも「孤独」と感じたこの時期は、今思えば些細な「方言」、私の場合「こってこっての北九州弁」でさえもコミュニケーションの足かせになっていました。そのように考えると、今ここに生活し対人援助の仕事をしていることが奇跡なのですよ。どこでひっくり返ったのでしょうか?

(※1)発達障がい…対人関係・社会性やコミュニケーション能力に障がいがあり、物事に強いこだわりがあるのが特徴と言われます。またものごとを柔軟に思考することや変化に対処するのが難しい方も多いです。

 

ふと思いついたのですが、そうはいっても単にどこか楽観的で私がルーズな性格なので、このような危機感のなかでも精神病にならなかったのかもしれませんね。病気になる前の性格(病前性格)は精神病の発症と多少関連があるとも言われていますが、そうすると櫻井さんが繊細な性格だから精神的な危機感の中で病気になってしまったのかなぁと考えてしまいました。もしよければ櫻井さんが思う自身の性格について語ってくれませんか?性格について語ることは、気恥ずかしいですか?

草々

荒木  浩

「手紙」を交わすふたり

櫻井 博

1959年生 57歳 / 社会福祉法人多摩棕櫚亭協会 当事者スタッフ(ピアスタッフ)

大学卒業後、職を転々としながら、2006年棕櫚亭とであい、当時作業所であった棕櫚亭Ⅰに利用者として通う。

・2013年   精神保健福祉士資格取得
・2013年5月  週3日の非常勤
・2017年9月  常勤(現在、棕櫚亭グループ、なびぃ & ピアス & 本部兼務)

荒木 浩

1969年生 48歳 / 社会福祉法人多摩棕櫚亭協会 ピアス 副施設長

福岡県北九州市生れ。大学受験で失敗し、失意のうち上京。新聞奨学生をしながら一浪したが、ろくに勉強もせず、かろうじて大学に入学。3年終了時に大学の掲示板に貼っていた棕櫚亭求人に応募、常勤職員として就職。社会はバブルが弾けとんだ直後であったが、当時の棕櫚亭は利用者による二次面接も行なっていたという程、一面のんきな時代ではあった。
以来棕櫚亭一筋で、精神障害者共同作業所 棕櫚亭Ⅰ・Ⅱ、トゥリニテ、精神障害者通所授産施設(現就労移行支援事業)ピアス、地域活動センターなびぃ、法人本部など勤務地を転々と変わり、現在は生活訓練事業で主に働いている。

・2000年   精神保健福祉士資格取得

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Photography: ©宮良当明 / Argyle Design Limited

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