ピアス通信17号・18号を発行いたしました

ピアス 2017/12/13

SSKP はれのちくもり ピアス通信17号・18号を発行いたしました

ピアス通信17号

内容は・・・

  • 棕櫚亭30周年フェスを終えて!
  • 30周年フェス出演者・参加者の感想
  • お知らせ:くにたち秋の市民まつり

などとなっています。


ピアス通信18号

内容は・・・

  • 就労定着支援事業の制度化について
  • 障がい者 職場定着の秘訣と課題について

などとなっています。

「障がい者 職場定着の秘訣と課題 オープナー川田さん編」WEB版全編を同時に掲載します。

障がい者・職場定着の秘訣と課題 オープナー川田さんWEB版

ぜひご覧ください。

<お詫び>

今回、ホームページ上への掲載が遅れてしまい、

申し訳ありませんでしたが、ぜひご覧ください。

 

 

なびぃ通信12・1月号

なびぃ 2017/12/12

なびぃ通信最新号をお届けいたします。

今号では好評連載の「みなさんに聞く!」今回はダイエットについてです。

そして12月22日に行われます、なびぃ恒例のクリスマス会のお知らせを載せています!

(お申込みはなびぃまでご連絡下さい)

年末年始の閉所予定も載っています。

今年は12/29(金)から1/4(木)までお正月休みとさせていただきます。年明けは1/5(金)からとなります。

その他のスケジュールも掲載していますので、フリースペース等をご利用の際は事前にご確認の上、ご来所ください。

12-1月なびぃ通信1面

なびぃ通信12-1月2面、3面

なびぃ通信12-1月4面

なびぃ通信の内容についてのお問い合わせはなびぃまで・・・

やはり「多摩の精神医療を変えたい!!」~二年目のご挨拶に代えて~

法人本部 2017/12/07

先月の11月19日に、理事会・評議員会が開催され無事終了いたしました。思い返せば一年前のこの日、理事長交代が行われ、天野前理事長から理事長職を引き継ぐ事となりました。渡されたバトンは重く、「さぁ、困った、これからどうしよう・・・・」、そんな思いで一杯だった事を思い出します。緊張や不安、焦りや戸惑いと、様々な気持ちがない交ぜとなり、何とも形容しがたい思いばかりが広がっていました。前に進むにもどこに足を置いていいのか分らず、無我夢中の一年だった様な気がします。

でも、具体的な体験や行動は、いい意味で人をシンプルにしていきます。一年前の重たい思いは、少しずつすっきりしていき、不安や緊張に少しの「やりがい」も加わり始めました。躊躇して踏み出せなかった一歩も、「とにかく動こう。」「とにかくやってみよう。」と、思えるくらいになってきました。と、こんな書き方をすると、なんだか順調そうな毎日に聞こえるでしょうが、そんな事はなく、十戦十敗は言い過ぎですが、日々修行、それが新体制を強くしていくと自分に言い聞かせながらの毎日です。

十戦十敗と書きましたが、この一年はたくさんの方々から様々アドバイスを頂きました。時には厳しいお言葉もあり、自分の至らなさを痛感することも多々ありました。しかし、厳しい言葉の裏には、棕櫚亭を大切に思ってくださる思いが透けて見え、「もっともっと自分が大きくならなければ・・・・」と、常に発破をかけてきた様にも思います。また一方で、その何十倍もの温かい励ましやご支援を頂き、改めて、棕櫚亭がたくさんの方々に愛されている事を実感した一年でもありました。そのような方々を残して行ってくれた創設世代には、本当に感謝の思いで一杯です。

こうして二年目に突入した新体制ですが、この一年をどの様に過ごそうかと考えています。その時気になるのが、最近の精神医療、精神病院の動向です。先日参加した東京つくし会主催の「マル障実現都民集会」では、杏林大学の長谷川利夫氏より、身体拘束がここ十年で二倍となり、治療の一環として当たり前に行われているという報告や、巣立ち会の長門大介氏からは「精神疾患を持つ人の余命は20年以上短い」という研究報告がありました。日頃、就労支援の現場に身を置くことが多い私にとっては、非常にショッキングな内容でした。

精神障害者にとって、一番身近なサービスであるはずの精神医療は、何も変わっておらず、むしろ悪い方へと変化している、そして、さまざまな課題は積み残されたまま・・・そんな状況を目の当たりにすると、精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられ、「働ける時代がやってきた!」とばかりは言っていられない気持ちになります。やはり、私達支援者はこの現状から目を背けず、なんらかのアクションをしていかなければならないと思っています。なぜなら、このつけを払わされるのは、いつも精神障害者の方々自身なのですから・・・・。

 棕櫚亭の始まりは、「多摩の精神医療を変えたい!」という熱い思いからです。それから三十年が経ちました。そして新体制が二年目を迎えた今、やはり「多摩の精神医療を変えたい!」と強く思う今日この頃です。地域からどんな発信が出来るかはわかりませんが、職員一同で試行錯誤しながら、「自分たちが出来る事を考える。」、そんな一年にしていきたい思っています。二年目も温かく、そして時には厳しく見守っていただけたらと思います。                                                                        (理事長  小林 由美子)

 

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殿ヶ谷戸庭園に行ってきました【12月の予定表もお知らせします】

棕櫚亭Ⅰ 2017/12/04

 

先日のウォーキングでは、国分寺駅にある殿ヶ谷戸庭園に行きました♪

HP用①HP用④

 

 

 

 

 

紅葉がちょうど見頃で、とても綺麗でした☆

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庭園内が広く、見ごたえ抜群!

HP用⑥ HP用②

 

 

 

 

 

写真には納め忘れてしまいましたが、休憩所から見える景色もとても綺麗でした。
いつも通る大学通りの紅葉とはまた違った景色をたのしむことができてよかったです!(^^)!

今後も季節を感じながらプログラムをたのしんでいきたいですね(^O^)♪

12月の予定表はこちらです→12月月間予定表

YMCA学院でピアスの話をしてきました!

ピアス 2017/12/01

11/17(金)、東京YMCA学院医療福祉専門学校の作業療法士コース2年生の方の授業の1コマで、利用者さんと一緒にピアスの説明をしてきました。学校のある場所は、ピアスの近くで、普段からお弁当も利用していただいているお得意様でもあります。

一緒に行ったFさんは、私が説明している途中で突然話を振っても、落ち着いて丁寧にお話をしてくださって、ピアスの様子を具体的に伝えられたかなと思っています。学生さんたちは熱心に聞いてくださり、終わった後もたくさんの質問がきました。支援を受ける側の生の声をより聞きたいという思いの伝わるものばかりで、一見おとなしそうな学生さんたちの中の熱い思いを感じました。Fさんもそれを感じたのでしょう、自分の話をぜひ、これからの仕事に役に立ててほしいとお話されていました。また、ピアスに通わなければここで話すなんてできなかっただろうともおっしゃっていました。今回、私にとっても、Fさんにとってもいい経験になったと思います。

私は、話の最後に、自分が仕事をしていて大事にしていることをお伝えしました。私は、利用者さんに自信を取り戻してもらうことはもちろんなのですが、その方の尊厳を傷つけないこと、これを大事にしています。また、棕櫚亭の理念を忘れず、その人にとって何が一番幸せなのか(私が一番と思うものではなく)をきちんと知り、その人が一番幸せだと感じることを一緒にめざしたいと思っていることをお伝えしました。

私もFさんと同じで、少しでも私たちの話を将来の仕事に活かしてもらえたらなと思いました。

(ピアス 増田)

写真 2017-12-01 15 16 10写真 2017-11-17 15 28 59

『卒業生インタビュー 2』

法人本部 2017/11/29

退職のため掲載を終了しました。

もくじ

 

『往復書簡 1 – 櫻井博 と 荒木浩』 Part ❹ “くくりつけられた心 精神科医との出会いを振り返る -櫻井 博からの手紙”

法人本部 2017/11/29

往復書簡 01 荒木浩と櫻井博 Part4 くくりつけられた心。主治医との出会いがもたらしたもの

くくりつけられた心 精神科医との出会いを振り返る

前略
荒木 浩 さま

お便りありがとうございました。荒木さんが相当自己開示して、自分のことをお話していただいたことに感動しました。この書簡で荒木さんの疑問にどこまで答えられるかわかりませんが、今回は過去の辛い時期のこと、そして主治医との出会いなどを振りかえってみようと思います。
これはじつはかなり辛い作業でもありますが。

往復書簡 01 荒木浩と櫻井博

櫻井 博

妄想の世界。人生の終焉(しゅうえん)。

1975年に公開された「カッコーの巣の上で」というアメリカ映画を高校二年の時、新宿まで観に行きました。この映画は精神病院のことを描いており、その年のアカデミー賞を取った有名な作品です。高校の頃は映画が好きでいろいろ観ましたが、主演のジャック・ニコルソンがこの映画の最後で、電子プラスチックを頭に埋め込まれてロボトミー(※1)にされてしまうシーンが印象に残り、社会のいわゆる道徳、法、慣習などを壊すものは罰せられると強く心に植えつけられたのです。
以降この主人公のことが忘れられず、不調で病院に入院となるたびに、「自分はロボトミーにされるのではないか」という恐怖感で、病院が死の場所だという考えが浮かびました。
被害者意識、被害妄想、誇大妄想が強くなると、自分が見るもの聞くものが関連づけられていて、私はキリストの再来だとか、BMW(ドイツ車)が道に止まったのは、そこからやくざが降りてきてなにかされるのではないかなどという考えが強くなりました。また病院内では密かに殺人も行われているのではないか?とあらぬ考え(間違った認識)から、病院で「人生は終わる」と思いながら、恐怖に怯えながら過ごす日々もありました。いわばそれは自分の頭のなかで生まれた世界です。
もちろん「妄想が現実とは違う」という認識がないわけではないのです。映画の主人公にはならないし、キリストの再来などに違和感があることも知っています。でも入院時(不調な時)はどうしても現実と妄想や違和感を整理できない自分がいるのです。

(※1)かつて「精神外科」という、精神科医が大脳手術で精神病を治療するという医療分野があった。代表的なものが前頭葉切截術(ロボトミー)である。

精神科医との出会い。

それではせめて、その病院の中で頼りにできるはずの精神科医との治療関係の中で納得し信頼関係を築けたか?というと疑問が残ります。受験期の入院は親が同意する医療保護入院であったし、この時の医師は私が医師の質問に答えないのをみて、入院を決めたという感じであります。その質問は「どうですか。気分は?」という感じだったと記憶しています。
大学の時出会った先生が一番長く私をみてくれました。先生のお宅に呼ばれたり、ジッポライターの交換をしたり、人間にとってなにが大切なのかを教えてくれました。ただ趣味の話にとどまらず、「男子たるもの高校時代はギャングエイジ(思春期の特徴で、親や先生に隠れてこっそり、友達皆といたずらをすることなど)といった連帯感の中でアイディンティは確立される」と社会の荒波にもまれることの重要さも話してくれました。一回目の手紙で「頭を使いすぎた」と原因にあげたともに、思春期のアイディンティの確立のないまま過ごした自分にとって、納得のいく理由を示してくれたように思います。しかし、この先生の処方する薬のきれは悪く、幻聴、妄想の症状は一向に良くなりませんでした。この間15年ぐらいにわたり、入退院の繰り返しも10回近くあったかと思います。
他人の考えに流され、自分の考えがないと、この頃いつも思っていました。確かにこの医師は私のとりとめのない妄想話につきあってカウンセリングしてくれました。でも薬のきれが悪いのは、その後新薬をためして、良くなった現実を考えると納得せざるを得ません。

精神科医に、今思うこと。

人間関係を良好に保つことや、病気にあった薬を選ぶことは大切ですが、あまり医師の言う通りに行動することが、現実にそぐわないことは、精神の病気の人は皆体験しているのではないかと思います。
現在の医師はカウンセリングをほとんどしません。でも自分にあった薬をみつけてくれたことには感謝しています。
先生とよく話しあうのは障害年金の更新の時ぐらいになっています。現在精神科医とは程よい距離をとり、うまくつきあっていくことしか考えません。
相談や意見交換が現実に沿わないことを知っているし、症状も改善してきているからです。
でも肝心な時は精神科医の力はすごいことも知っています。外来に通い薬を服用していますが、このつきあいは一生続くのかと思っています。
さて、自身の精神病の原因と考えている「勉強のしすぎ」ということに関しては、またの手紙の中で話を深めさせていただければと考えていますがいかがでしょうか?

草々

櫻井 博

「手紙」を交わすふたり

櫻井 博

1959年生 57歳 / 社会福祉法人多摩棕櫚亭協会 当事者スタッフ(ピアスタッフ)

大学卒業後、職を転々としながら、2006年棕櫚亭とであい、当時作業所であった棕櫚亭Ⅰに利用者として通う。

・2013年   精神保健福祉士資格取得
・2013年5月  週3日の非常勤
・2017年9月  常勤(現在、棕櫚亭グループ、なびぃ & ピアス & 本部兼務)

荒木 浩

1969年生 48歳 / 社会福祉法人多摩棕櫚亭協会 ピアス 副施設長

福岡県北九州市生れ。大学受験で失敗し、失意のうち上京。新聞奨学生をしながら一浪したが、ろくに勉強もせず、かろうじて大学に入学。3年終了時に大学の掲示板に貼っていた棕櫚亭求人に応募、常勤職員として就職。社会はバブルが弾けとんだ直後であったが、当時の棕櫚亭は利用者による二次面接も行なっていたという程、一面のんきな時代ではあった。
以来棕櫚亭一筋で、精神障害者共同作業所 棕櫚亭Ⅰ・Ⅱ、トゥリニテ、精神障害者通所授産施設(現就労移行支援事業)ピアス、地域活動センターなびぃ、法人本部など勤務地を転々と変わり、現在は生活訓練事業で主に働いている。

・2000年   精神保健福祉士資格取得

もくじ

 

Photography: ©宮良当明 / Argyle Design Limited

昼食会でさとのいえに行きました

棕櫚亭Ⅰ 2017/11/27

 

11月24日の金曜日、昼食会で城山さとのいえに行きました♪
さとのいえのスタッフの方の協力もあり今年もたのしい時間を過ごすことができました。

HP用⑦HP用⑨

 

 

 

 

 

 

 

さとのいえさんで出来た野菜を収穫し、棕櫚亭Ⅰでお料理を教えてくださる杉田先生とお料理をするのが毎年の恒例となりつつあります。

今年は大根・ブロッコリー・春菊・白菜・小松菜・さといもを収穫させていただきました!

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収穫体験をしたメンバーからは「こんな風に野菜ができているなんて知らなかった!」「たのしい体験ができてよかった!」などの感想が出ました(^O^)

そして収穫組だけでなく、料理組もいます!
採れたての野菜をその場で調理!これもさとのいえさんの魅力です☆

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今年のメニューはうどんときしめん。
うどんはみそ味、きしめんはしょうゆ味と、味も食感も2種類たのしむことができました(^^♪

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お部屋の中で食べるのよいですが、青空の下食べるのもまた素敵な経験になりました♪

 

 

 

 

【報告】フリマ・・・今回もたくさん売れました!

なびぃ 2017/11/24

去る11月11日(土)に、むっさ21のフリマに出店いたしました。

商品は、衣類・雑貨・食器・文房具などなど…市内の福祉法人さんや棕櫚亭職員から集めたものや、ほかにも、利用者さんの手作り品(てぬぐい)や、東北震災復興支援チャリティボールペンなどを販売しました。

当日の早朝までは小雨が降る寒いお天気で、出店できるかハラハラしましたが・・・いざ11時になると、すっきりと晴れ上がりたくさんの人出の中フリマが開催されました。私たちの商品も飛ぶように売れて行き、売り子をしてくださったなびぃメンバーさんたちも大忙し!値引き交渉に応じながら、次から次へと売りさばいていき…13時過ぎにはもう目ぼしいものは売れてしまいました。

そんな今回の売り上げは・・・

12,890円 でした!! (H29.11.28 金額を訂正いたしました)

ご協力いただいたみなさま、お買い上げいただいたお客様、そして荷物運びや売り子をしてくださった利用者のみなさま、本当にありがとうございました。売り上げはいつも通り、日本赤十字を通して災害被災地などへ寄付したいと思います。これからもチャリティ活動を定期的に続けていきたいと考えていますので、その時にはまたみなさまのご協力を頂けたらうれしいです。

『往復書簡 1 – 櫻井博 と 荒木浩』 Part ❸ “病気の原因に対するささやかな反論 -荒木 浩からの手紙”

法人本部 2017/11/15

往復書簡 01 荒木浩と櫻井博 Part3 精神病の原因に対するささやかな反論

櫻井さんの主張に対するささやかな反論

櫻井さんへの深い感謝と彼との対峙

前略
櫻井 博 さま

櫻井さんの気持ちを振り絞るように書いてくれた手紙には、心揺り動かされるものがありました。情景や心情が目の前に浮かびます。これほどリアルに、そして誠実に答えてくれたことに感謝します。私自身、支援者としての医療保護入院などに何度も立ち会った経験がありますが、本人はもちろん、取り巻く家族などの複雑に交錯した思いにいつも困惑し、何が正解なのかと悩んでしまいます。

ところで、櫻井さんは今も「人生は終わった」と思っていますか。確かに当時の櫻井さんの入院の辛さはわかりましたが、正直言うと「その程度」に対して忠実に思いを馳せることは、経験を積んだ今をもってしてもかなり厳しいです。しかしこの書簡を通じてそのあたりの繊細な部分に触れさせていただければありがたいと思います。そしてここで筆を終えてしまうことは「健常者職員」のありようを探る始点につながっていかないので、あえてすすめさせて頂きます。
そして、これから櫻井さんが書かれた発症の原因について、少し私見を書きたいと思います。
私はいわゆる団塊ジュニアと呼ばれた世代で、櫻井さんとは10歳ほどの年齢差があります。
従って、これから書くことは時代を考慮しないという前提で櫻井さんにお読みいただければと思います。

往復書簡 01 荒木浩と櫻井博 Part3 精神病の原因に対するささやかな反論

荒木 浩

猛烈な勉強からは、精神病の入り口には立たなかった私

当事者である櫻井さんは「病気の原因」について、頭を酷使した結果であると書かれていますが、私は精神科医ではないのでそこに関しては答えることはできません。
ただ「頭を酷使した⇒(結果)病気になった」という構図には賛成しかねるという意見を持っています。「頭を酷使して」の解釈がもしかしたら違うのかもしれませんが、手紙を読む限りは「勉強して」と同義のような気がしましたのでそこをスタートとしました。勿論、誘因にならないと思っているのではなく、主因にはならないのではないかということです。
まぁ、そう思うのには私事を少し綴らなければいけないのですが、私自身が世代的にもいわゆる偏差値戦争に巻き込まれてきた苦い経験があります。「推薦入学」などもわずかにありましたが、学力一発!が幅をきかせていた時代だと思います。AO入試なんて、子供を持った今でも実はよく理解できていません。
「偏差値」これが私にとっては大きな意味を持つ数字でした。
特に父親の学歴コンプレックスはひどく、週に1時間しかテレビを見せてもらえない。結果、朝教室で友達が無邪気に「昨日のテレビ面白かったよね」などと話す会話に入っていくのが辛かった日々の思い出は、今も強烈にあります。案外とこういう思いは強くながく心に残るものなのです。ただ、立ち振る舞いが上手かったのかちょっと癖のあるこんな私がいじめ等にあわなかったのが、今思えば不思議なことです。特に中学生時代の学習は濃密でした。体育会系の部活動もしていたので、帰って1時間ほど寝て、朝の3時ぐらいまで机に向かう生活をしていました。そうして県内でも有数の進学校に入学しましたが、所詮はお山の大将で、偏差値お化けが沢山いることも思いしらされ、ショックを受けました。努力だけじゃ越えられない何かがあるのだと、子どもながらに思ったものです。
いえ別にここで自慢話をしたいわけではなく、櫻井さんに言いたいのは、単純に「私は精神病院にいかなかった」ということです。

精神病の入り口に立った者、すり抜けた者

それでは、自分が健全な子どもだったかというと、振り返ると後悔で過去を消してしまいたい思いに駆られることも数え切れないほどあります。今考えると「すさんでいたなぁ」と思うことも多々あります。このあたりのことは追々書いていくことになるかもしれません。勿論、個人の精神的負荷というものは主観的なものですから、櫻井さんと私のどちらが、大変な思いを重ねたかは比べることはできません。まぁ客観的には櫻井さんの方が大変な思いをしたのだと思いますが。

「ふりむくな ふりむくな うしろには夢がない」と劇作家の寺山修司はある詩の中でこのように書いています。私はこのフレーズが大好きです。特に若いときには何度もこの言葉に助けられました。確かにそうかもしれませんが、しかしこの年になると「ふりむいて ふりむいて 前に夢をもつ」ことはできないかとも思うのです。ですから何らかの夢をもちながらも、壁一枚のところで違う青春時代を過ごした二人の青年期のことをもうすこし話してみませんか。もちろん私は、一介のしかも優秀とは言い難い精神保健福祉士でしかありません。ですから生物学上のとか、医学上のとか、アカデミックな話をすることはできませんので、櫻井さん個人の視点に立った精神病の実態を軸に「健常」とは何かということについて考えさせていただきたいと言うお願いです。
そこでまず「主治医」や「薬」といった病気や障がいと切り離せない事柄のお話を聞いてみたいと思いました。
いかがでしょうか?

草々

荒木  浩

「手紙」を交わすふたり

櫻井 博

1959年生 57歳 / 社会福祉法人多摩棕櫚亭協会 当事者スタッフ(ピアスタッフ)

大学卒業後、職を転々としながら、2006年棕櫚亭とであい、当時作業所であった棕櫚亭Ⅰに利用者として通う。

・2013年   精神保健福祉士資格取得
・2013年5月  週3日の非常勤
・2017年9月  常勤(現在、棕櫚亭グループ、なびぃ & ピアス & 本部兼務)

荒木 浩

1969年生 48歳 / 社会福祉法人多摩棕櫚亭協会 ピアス 副施設長

福岡県北九州市生れ。大学受験で失敗し、失意のうち上京。新聞奨学生をしながら一浪したが、ろくに勉強もせず、かろうじて大学に入学。3年終了時に大学の掲示板に貼っていた棕櫚亭求人に応募、常勤職員として就職。社会はバブルが弾けとんだ直後であったが、当時の棕櫚亭は利用者による二次面接も行なっていたという程、一面のんきな時代ではあった。
以来棕櫚亭一筋で、精神障害者共同作業所 棕櫚亭Ⅰ・Ⅱ、トゥリニテ、精神障害者通所授産施設(現就労移行支援事業)ピアス、地域活動センターなびぃ、法人本部など勤務地を転々と変わり、現在は生活訓練事業で主に働いている。

・2000年   精神保健福祉士資格取得

もくじ

 

Photography: ©宮良当明 / Argyle Design Limited

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